年末調整で多くの人が適用を受けるのが地震保険料控除です。
地震保険といっても、いろいろな場合が考えられ、保険料控除証明書に記入するのに困ってしまう場合もあります。
そこで今回は、地震保険料控除におけるよくある疑問に回答いたします。
目次
年末調整の疑問・Q&A(地震保険料控除)|控除証明書・地震保険の内容
地震保険料控除証明書は必要か
質問
私は、自宅について地震保険に加入しています。10月に損害保険会社から地震保険料控除証明書が郵送されてきましたが、紛失してしまいました。
地震保険料控除は、控除証明書がないと受けられませんか?
回答
地震保険料控除の適用を受けるには、保険料控除申告書の地震保険料控除欄に必要事項を記入し、かつ、支払金額を証明する地震保険料控除証明書を提出しなくてはなりません。
したがって、保険料控除証明書がなければ、地震保険料控除の対象にはなりません。
至急、損害保険会社に連絡して、控除証明書の再発行を依頼してください。
会社の年末調整書類の提出締切日に間に合わない場合には、保険料控除申告書に必要事項を記入し、控除証明書を再発行している旨を伝えてください。
そして、控除証明書が郵送されてきた場合には、すぐに会社に提出してください。
地震保険料控除証明書が郵送されてこない
質問
私は、地震保険を自宅にかけています。
しかし、11月になっても損害保険会社から地震保険料控除証明書が郵送されてきません。
どうしてでしょうか。地震保険料控除の対象にならないのでしょうか?
回答
通常は、地震保険料控除の対象になる保険に加入していれば、毎年10月ごろに損害保険会社から地震保険料控除証明書が郵送されてきます。
しかし、保険期間が1年の地震保険の場合には、控除証明書が保険証券と一体になって右端や下端にあって、ミシン目で切り取るようになっている場合もあります。
地震保険に加入した際の保険証券を確認してみてください。
そこにもなければ、損害保険会社に問い合わせてみましょう。
地震保険料控除証明書のコピー
質問
私は、地震保険を自宅にかけています。
年末調整で地震保険料控除を受けるために保険料控除申告書と一緒に提出する地震保険料控除証明書は、コピーでも構わないでしょうか?
回答
地震保険料控除を受けるために提出する地震保険料控除証明書は、必ず原本であることが必要です。
したがって、保険料控除証明書のコピーでは地震保険料控除の適用を受けられません。
必ず、保険料控除証明書の原本を提出してください。
生活費特約がついて地震保険
質問
私が契約している地震保険には、特約で生活費保障をつけています。
この特約は、損害を受けたために立ち退く場合増加する生活費等の出費を補填するものです。
このような地震保険でも、保険料全額が地震保険料控除の対象になりますか?
回答
地震保険料控除の対象になるのは、、家屋や家財を保険の目的とする損害保険契約です。
したがって、ご質問の生活費保障特約は、この損害保険契約に該当しませんので、地震保険料控除の対象にはなりません。
地震補償保険の保険料
質問
私は自宅に地震補償保険をかけています。るのは、地震保険ではなく火災保険です。
火災保険は、地震保険料控除の対象になりませんか?
回答
地震補償保険は、地震保険とは内容が若干異なっています。火災保険を補完する目的で作成された制度です。
SBIリスタ少額短期保険という会社が販売している「地震補償保険リスタ」がその代表例です。
この地震補償保険は、残念ながら地震保険料控除の対象になっておらず、損害保険会社からも地震保険料控除証明書は送付されてきません。
火災保険の保険料
質問
私が自宅にかけているのは、地震保険ではなく火災保険です。
火災保険は、地震保険料控除の対象になりませんか?
回答
過去には、火災保険が保険料控除の対象になって時期がありました。
しかし、現在の地震保険料控除制度では、火災保険料は保険料控除の対象から外れています。
保険料控除証明書も届いていないと思います。
年末調整の疑問・Q&A(地震保険料控除)|地震保険の対象
借家にかけた地震保険
質問
私は、借家に住んでいます。その借家について地震保険をかけています。
このように、自宅分でなく借家にかけた地震保険も地震保険料控除の対象になりますか?
回答
地震保険料控除の対象になるものは、自分や生計を一にする家族が所有する家屋や、生活に必要な家具などの家財を対象とする地震保険に限られます。
したがって、他人の所有である借家にかけた地震保険の保険料は、地震保険料控除の対象にはなりません。
一部を貸している自宅の地震保険
質問
私は、自宅の一部を他人に賃貸しています。
この場合、自宅の家屋にかけた地震保険の保険料も、地震保険料控除の対象になりますか?
回答
地震保険料控除の対象になるのは、自分や生計を一にする家族が所有し、居住している家屋や、生活に必要な家具などの家財を対象とする地震保険に限られます。
自宅の一部であっても、他人に賃貸している部分は、自分や生計を一にする家族が居住している訳ではありません。
したがって、他人に賃貸している部分に対応する地震保険の保険料は、地震保険料控除の対象になりません。
年末調整の疑問・Q&A(地震保険料控除)|地震保険の支払方法
1年契約の地震保険を一括で支払った場合
質問
1年契約の地震保険に加入しています。
今年4月から来年3月分の1年分の地震保険料を今年3月に一括で支払った場合は、その支払った保険料の全額を地震保険料控除にしてもいいですか?
回答
契約期間が1年間の地震保険料を、年途中で1年分支払った場合には、ご質問のように一部来年分の保険料が含まれていても、支払った1年分の保険料全額が地震保険料控除の対象になります。
1年契約の地震保険を月払いした場合
質問
私は、保険期間が今年4月から来年3月の1年間の地震保険料を4月から月払いで支払っています。
この場合、この地震保険の保険料のうち、地震保険料控除の対象になるのはいつまでの分でしょうか?
回答
契約期間が1年間の地震保険料を、年途中で月払いで契約し、毎月保険料を支払った場合には、その保険料のうち今年支払った分まで、ご質問の場合は、今年12月までに支払った分のみが、今年の地震保険料控除の対象になります。
保険期間3年の地震保険料を一括払いした場合
質問
私は、保険期間が3年間である地震保険契約を今年4月に締結し、保険料を3年分一括払いしました。
この場合、この一括払いした保険料の全額が今年の地震保険料控除の対象になりますか?
回答
保険期間が1年を超える地震保険の保険料を一括払いした場合には、毎年の保険始期応当日に1年分の保険料を支払っているものとみなします。
したがって、3年分の地震保険の保険料を一括払いした場合、今年の地震保険料控除の対象になるのは、次の算式で計算した金額になります。
・一括払い地震保険料÷地震保険期間(年)
したがって、3年分の一括払い保険料が9万円であれば、今年の地震保険料控除の対象となる金額は、
・一括払い地震保険料9万円÷地震保険期間3年=3万円
となります。
まとめ
今回は、地震保険料控除のおけるよくある疑問に回答いたしました。
地震保険料控除は、最高5万円まで控除が受けられますので、税金を安くするためには必ず適用を受けたい制度です。
今回の記事を参考に、地震保険料控除の対象になっている保険の申告もれがないようにしましょう。
【投稿者:税理士 米津晋次】