税務調査というと、未経験の人はマルサを想像しますよね。
伊丹十三監督で「マルサの女」というヒット映画もありました。
大勢で突然来る・・・・
でも普通の税務調査はそんなことはありません。
そこで今回は、税務調査の種類について説明しましょう。
目次
税務調査の種類|マルサの強制調査
マルサとは国税局の査察部
マルサとは、国税局の査察部のことです。東京、大阪、名古屋の各国税局にあります。
税務調査は、大きく「強制調査」と「任意調査」に分かれますが、この国税局査察部による調査は、強制調査です。
強制調査は、国税局査察部によって、納税者の意思とは関係なく、強制的に行われるものです。
マルサによる強制調査の特徴
このマルサによる調査は、次のような特徴があります。(1)強制捜査で一切拒否できない。
(2)査察調査の着手前に、内偵調査等により既に多くの情報を掴み、脱税である確証が取れている。
(3)調査の前に、令状(臨検・捜索・差押許可状)が裁判官から出ている。
(4)1事案に、100人以上もの調査官が会社、社長の自宅、取引先、銀行などを一斉に立入調査をする。
(5)調査後、裁判で有罪判決を受けることが多い。
つまり、悪質な脱税行為が明らかで、刑事告発できるような証拠でも出てこない限りマルサが査察調査に入ることはないでしょう。
マルサの強制調査があったら、諦めるのが賢明です。
ちなみに、マルサでは調査のことを「ガサ入れ」と言います。
税務調査の種類|任意予告調査
通常の任意調査が予告調査
先ほど、税務調査は、大きく「強制調査」と「任意調査」に分かれますと説明しましたが、任意調査は、納税者の許可が必要です。そして、任意調査はさらに、予告調査と無予告調査に分かれます。
通常の税務調査は、予告調査です。
予告調査は事前に電話がある
予告調査は、調査に入る前に基本的に納税者側へ「○月○日に調査に伺いたいのですがよろしいですか」と電話が入ります。顧問税理士がいる場合は、納税者でなく税理士に連絡が入ります。
予告調査の日程は変更できる
税務署の電話では、税務署側の調査希望日が伝えられます。個人事業者や中小企業の税務調査は、2日が多いです。
しかし、任意調査ですから、日程も強制できません。
仕事の都合などで、税務署の調査希望日の都合が悪ければ、堂々と変更をお願いできます。
変更したからといって、不利になるようなことはありません。
税理士に調査立会を依頼する場合には、税理士の都合にも合わせましょう。
税務調査の種類|任意無予告調査
無予告調査は突然来る
税務調査の多くは、予告調査ですが、無予告で調査する場合もあります。来るのは、マルサではありません。税務署員です。
例えば、小売業や飲食業などの現金商売の業種に対してです。
その理由は、調査が入ることが事前に分かると、お金を隠しかねないからです。
ただし、一般の税務署による無予告調査では、無予告といってもあくまで任意調査ですので、電話での事前連絡がないだけで、調査に入る直前には納税者に同意を得ることが必要になります。
無予告調査への対応法
もし、突然の無予告調査に税務署員が来たら、次のように対応しましょう。まずは、税務署員を入り口から入れないでください。入り口外で待ってもらいましょう。
入れてしまうと、調査に合意したものと取られることがあります。
税務調査には応じるのが国民の義務ですし、無予告調査も、例外的とはいえ、実務で実行されていることですので、特に、緊張したり敵対する必要はありません。
その日の都合がつけば、積極的に調査に応じてください。
ただし、税理士と顧問契約していれば、入り口から入れる前に税理士に連絡を入れてください。
また、突然に税務調査に来られても、納税者が側としては、仕事の都合などで対応が困難な場合があると思います。
その際には、その旨を説明し、税務署に別の日程で税務調査をするように交渉しましょう。
税務署側も、無予告調査では会社側の都合で調査が実行できないことがあることを織り込み済みです。
例えば、次のように説明し、ご配慮頂くといいでしょう。
(1)税務調査は、税理士の立ち会いの下で受けたいので、税理士の都合と調整の上、後日の調査として頂きたい。
(2)今日は、外出予定なので、調査に対応できません。
まとめ
今回は、税務調査の種類について説明いたしました。マルサが入ることはないと思いますが、無予告調査が入った場合には、まずは入り口外で税務署員に待っていただき、冷静に対処しましょう。
通常の予告調査の連絡があった場合には、税務署の希望日に無理に合わせる必要はありません。
堂々と都合のいい日程に変更してもらいましょう。