一定の文書(課税文書)には、収入印紙を貼らなければなりません。
しかし、
・収入印紙を貼る必要のない文書に貼ってしまった
・所定の金額より多くの収入印紙を貼ってしまった
・収入印紙を誤って破ってしまった
など、収入印紙が無駄になってしまうことがあります。
でも、諦めないでください。これらの場合には、税務署から印紙税の還付を受けることができます。
しかし、その手続方法、還付請求期限、収入印紙の交換制度などがあって複雑です。
そこで今回は、印紙の還付請求(還付申請)について、詳しい情報をご紹介しましょう。
目次
収入印紙とは
収入印紙とは、印紙税や行政手数料の徴収のため、政府が発行する証票のことです。行政手数料はわかりますが、印紙税ってなかなか理解できませんね。
簡単に言えば、契約書や領収書などの重要文書に印紙税という税金をかけているのです。
皆さんがよく見かけるのは、領収書に貼ってある印紙ではないでしょうか。
5万円以上の金額の記載のある領収書には、収入印紙を貼ることになっているのです。
→印紙税額一覧表(国税庁、PDFファイル)
→印紙税の課税文書と非課税文書|基礎、課税・非課税の判断、節税策
→領収書の収入印紙への割印(消印)について。位置、押し方、誰の印など
誤って購入した収入印紙の交換制度
郵便局で印紙の交換が可能
税額の異なる収入印紙を誤って購入し、その収入印紙を使用していない場合には、郵便局で他の収入印紙に交換する制度があります。「交換」ですが、現金に交換することはできません。
なお、白紙、封筒や申請書に印紙を貼り付けたもので、客観的に見て課税文書でないことが明らかな場合にも、郵便局で交換することができます。
郵便局での印紙交換手続き
郵便局の窓口に、誤って購入した収入印紙と交換手数料(印紙1枚あたり5円)を提出して他の収入印紙と交換してください。→誤った額面の収入印紙を購入した場合、他の額面の収入印紙と交換することはできますか?(郵便局)
印紙の還付請求・還付申請
印紙税の還付制度
印紙税の貼付の必要がない文書に誤って印紙を貼り付けたり、印紙税の課税文書に所定の金額を超える印紙を貼り付けたりした場合などには、税務署からの還付を受けることができます。手数料は無料です。
同じ印紙でも、印紙で納付することになっている登録免許税や訴訟費用等を納付するための文書に印紙を貼ったものについては、税務署からの印紙税の還付を受けることができません。
たとえば、登録免許税を納付する際に所定の税額よりも多くの印紙を貼り付けてしまった場合には、登録免許税法の規定により還付を受けることになります。
→登録免許税の還付手続について(特許庁)
→登録免許税の還付手続について(法務局)
印紙の還付請求・還付申請の手続き
印紙税の還付を受ける場合には、税務署に用意してある「印紙税過誤納確認申請書」に必要事項を記入して、納税地の税務署長に提出します。国税庁ホームページから「印紙税過誤納確認申請書」の様式をダウンロードすることもできます。
様式ダウンロード → 印紙税過誤納[確認申請・充当請求]手続(国税庁)
なお、印紙税の還付申請をする場合には、印紙を間違って貼った文書や所定の金額を超えた印紙を貼った文書などと、還付を受ける口座情報が必要です。
したがって、収入印紙を間違って貼った場合でも、その印紙を剥がしてはいけません。剥がさずに税務署へ提出してください。
「印紙税過誤納確認申請書」の書き方
国税庁ホームページに「印紙税過誤納確認申請書」記載例が公開されていましたので、ご紹介します。印紙税の還付金の還付方法
還付される印紙税は、銀行口座への振込あるいは郵便局を通じての送金となります。割印した印紙の還付
割印した印紙の還付を受けられるのか
誤って貼った収入印紙や、過大金額の収入印紙を貼った場合には、税務署に還付請求ができるのですが、収入印紙に割印(消印)した印紙は還付を受けられるのでしょうか。印紙を貼り、割印(消印)をし、あとは宛名を書くだけ、というところで宛名を間違えてしまった、ということもありますよね。
また、一度交付したものの、内容の間違いを指摘されて再度交付した場合も最初に交付した文書に貼った割印された収入印紙が無駄になってしまいます。
割印して汚してしまった印紙はもう還付して貰えない、多くの方がそのように思っているようです。
いえいえ、ちゃんと印紙税の還付を受ける制度が設けられています。
割印した収入印紙でも還付を受けられます
印紙税の還付の対象となるものとして、次のようにあります。・印紙税の課税文書の用紙に収入印紙を貼り付けたものの、使用する見込みのなくなったもの
たとえ収入印紙に割印してあったとして、使用する見込みのなくなったものは、還付してもらえるのです。
印紙税の還付請求の手続きは、間違って貼った場合などと同様に「印紙税過誤納確認申請書」を税務署に提出します。
やはり、割印してしまった収入印紙は剥がさずに税務署へ持っていってください。
【参考】→領収書の収入印紙への割印(消印)について。位置、押し方、誰の印など
印紙税還付請求の期限
印紙税の還付を受けることができる場合に該当するときに、印紙税の還付請求には、期限があるのでしょうか。印紙税還付請求の期限は5年
印紙税の還付請求権は、ほかの国税と同じく、その請求することができる日から5年を経過する日までです。5年を経過すると時効になって、還付請求できなくなります。印紙について、「請求することができる日」とは、印紙を貼り付けた日となります。
→印紙税の還付請求権の消滅時効(国税庁)
印紙税還付請求の期限を過ぎてしまった場合
印紙税の還付請求の期限である5年を過ぎてしまった場合でも、まだ還付を受けることができる可能性が残っています。それは、税務署長に「嘆願書」を提出することです。
「嘆願書」とは、簡単に説明すれば税務署へのお願い文書です。
確かに税法上の還付請求期限は過ぎてしまったものの、税務署長に対し情状酌量を求めるものです。
嘆願書を提出して、還付を受けられなかったとしても、損害は郵送料などわずかです。
金額の大きい収入印紙の場合には、ダメもとで嘆願書を提出してみましょう。
なお、指定様式は特にありません。
嘆願内容として、事情を説明し、収入印紙を誤って貼った文書を添付します。
まとめ
収入印紙を間違って貼った場合などの印紙税の還付請求について説明してきました。額面の大きな収入印紙について誤った場合などは、上記を参考に還付申請をしてみてください。
割印(消印)した収入印紙でも還付を受けることができます。
還付請求期限の5年を超えた場合も、嘆願書を税務署へ提出してみてください。
【参考動画】
契約書や領収書と印紙税(国税庁)
【投稿者:税理士 米津晋次】
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