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還付加算金|税金還付にも利息。その計算・利率は?課税される?勘定科目は?

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還付加算金


 税金の納付が遅れると、延滞税又は延滞金という利息相当が課税されます。
 このことは、ある程度知られていると思います。

 しかし、逆に税金が還付される場合に、利息にあたる金額が加算されることはあまり知られていません。
 その利息を「還付加算金」といいます。

 そこで今回は、還付加算金について説明いたしましょう。

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還付加算金|税金還付にも利息がつく

還付加算金とは?

 国税の納付が納付期限より遅れた場合には、利息相当の延滞税が課税されます。

 一方、国税が還付される場合に、利息がつかなければおかしい、との考え方から、国税の還付金には、利息にあたる金額が加算されます。

 この加算される金額を還付加算金と呼びます。

税金が還付される場合

 納税者は通常、税法にそって算出された税額を納めることになります。

 しかし、次の場合には、結果として過大に納付していたこととなりますので、過大に納付した税額が還付されます。
1申告時や納付時に計算間違いがあって税額を過大に納付してしまった場合
2納付後に結果的に納め過ぎであったと分かった場合
3納付後に税務訴訟等を通じて課税処分が取り消しになった等の場合

多額の還付加算金例

 還付加算金が多額に支払われた例をご紹介しましょう。

 消費者金融大手T社創業者の長男が、生前贈与を受けた海外資産に約1330億円を課税されたのは不当だとして取り消しを求めた訴訟について、2011年に最高裁で逆転勝訴しました。

 この勝訴により、納付済みの贈与税約1600億円に対して、国は還付加算金約400億円を上乗せした総額約2000億円を還付しました。
 還付加算金だけで400億円とは驚きの金額ですね。


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還付加算金|還付金の計算、利率は?

税務署

還付加算金は1日単位で計算される

 国税の還付金には、後で説明する起算日から還付の支払決定日までの日数に応じて、次のように計算した還付加算金が加算されます。

・還付加算金=還付すべき金額(10,000円未満切捨て)×利率(割合)×(起算日から支払決定日までの日数)÷365(100円未満切捨て)

還付加算金の利率:原則

・還付加算金の利率は、原則として年7.3%です。

還付加算金の利率:特例

・還付加算金の原則的利率が、次の「特例基準割合」よりも低い場合には、還付加算金は、原則的利率ではなく、その低い利率(割合)で計算されます。

 このような規定があるのは、市場利率が低い場合には、還付加算金の計算も低い市場利率に連動させるべきだという理由です。

※特例基準割合とは、各年の前年の11月30日を経過する時における日本銀行法の規定により定められる商業手形の基準割引率に年4%の割合を加算した割合をいいます。
・平成28年:1.8%
・平成29年:1.7%
・平成30年~平成31年、令和元年~令和02年:1.6%
・令和03年:1.0%
・令和04年~令和06年:0.9%

 特例基準割合による場合でも、現在の定期預金利率(0.01%程度)と比較すれば、100倍以上のかなり高い利率ですね。

還付加算金の起算日

 国税の還付金には、次の日から還付の支払決定日までの日数に応じて還付加算金が加算されます。

(1)税務署が確定した税額(更正・決定・賦課決定)の減額の場合:
・納付の日

(2)予定納税額の減額の場合:
・納付の日

(3)還付請求(更正の請求)に基づく更正による減額の場合:
・更正の請求があった日の翌日から3ヵ月を経過する日
と、
・更正があった日の翌日から1ヵ月を経過する日とのいずれか早い日の翌日
(4)申告税額が更正によって減額の場合:
・更正通知書が発送された日の翌日から1ヵ月を経過する日の翌日

(5)源泉所得税を間違って余分に納付した場合:
・過誤納の事実を確認した日の翌日から1ヵ月を経過する日の翌日

(6)その他の過誤納金:
・納付した日(その日が法定納期限前であるとは法定納期限)の翌日から1ヵ月を経過する日の翌日

 したがって、所得税の予定納税が還付される場合には、還付加算金がつきますが、源泉所得税が還付される場合には、還付加算金はつきません。

 また、意図的に納税が過大となるような申告をすれば得をしそうですが、還付加算金の起算日は、法定納期限の翌日から1ヵ月とされているため、高利率の還付加算金を受け取ることはまずできません。

還付加算金計算の具体例

 減額更正の内容
・更正等により確定した税額:340,000円
・納付日:7月15日
・減額更正により確定したした税額:40,000円
・過納金:300,000円(340,000円-40,000円)
・還付の支払決定日:10月15日

原則利率による還付加算金の具体例

・還付加算金=600,000円×原則利率7.3%×92日÷365日
      =11,040円→11,000円(100円未満切捨て)

特例利率による還付加算金の具体例

・還付加算金=600,000円×特例利率1.0%×92日÷365日
      =1,512円→1,500円(100円未満切捨て)

地方税の還付加算金

 国税の還付加算金の利率や計算方法は、上記のとおりですが、地方税の還付加算金はどうなのでしょうか。
 地方税の還付加算金の利率や計算方法は、国税と同じといっていいでしょう。
市役所

 ただし、端数処理など一部が異なっています。
(1)還付される税額が国税の場合は10,000円未満の場合、地方税の場合は2,000円未満の場合は、還付加算金はありません。
(2)還付加算金の端数処理は、国税が100円未満切捨てなのに対し、地方税は1,000円未満切捨てです。


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還付加算金は課税される。勘定科目は?

 利息相当額である還付加算金については、課税の対象になります。

個人の場合

所得税の還付加算金

 所得税の還付加算金は、「雑所得」

として課税されます。

 年末調整をしたサラリーマンの場合、年末調整を受けた給与以外にほかに所得があっても、その他の所得等が年間20万円以下であれば、確定申告はしなくていい、という特例がありますので、申告不要の場合もあります。

 しかし、個人事業者や、年末調整を受けたサラリーマンでも医療費控除などの還付申告をする場合には、この特例は適用されず、いくら少額でも還付加算金を雑所得として申告しなければなりません。

 所得税の還付加算金は、還付金と別に振り込まれるのではなく、還付金と合計されて振り込まれますので注意が必要です。
 したがって、還付金の通知書に還付加算金がいくらと記載されていますので、確認してください。

 なお、事業所得や不動産所得用の通帳に振り込まれた還付加算金は「事業主借」の科目で処理します。

消費税や個人事業税の還付加算金

 消費税の還付加算金や個人事業税の還付加算金は、事業所得や不動産所得の中で「雑収入」などで処理します。

 還付加算金の金額は、税務署がしっかりと把握していますので、申告しないと税務署から間違いなく指摘を受けます。

法人の場合

 還付加算金は、益金とされます。
したがって、「雑収入」等で処理するのが妥当です。

「仮受金」や「未払法人税」などで処理した場合には、申告書で加算調整が必要になります。


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まとめ

 今回は、還付加算金について説明いたしました。
 延滞税の利率は高いですが、逆の還付加算金の利率も結構高いです。
 このことを知っておくと、ちょっと得をします。

 異常に利益が大きくなってしまった年の翌年の予定納税の資金を準備しておくことはとても大変です。
 しかし、減額申請せずに年1.0%程度の高利回り商品として割り切り、投資的な感覚で支払っておくという選択肢もあります。

 ただし、還付加算金にも税金がかかることを忘れないでくださいね。


【投稿者:税理士 米津晋次


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