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共有名義不動産の固定資産税の納付はどうするの?個人ごとに納付できる?

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 土地や建物などの不動産を共有で所有している方も多いです。

 その場合の固定資産税の納付は、一緒にするのでしょうか。別々にするのでしょうか。

 今回は、共有名義不動産の固定資産税の納付について説明します。

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共有不動産の固定資産税は代表者が納付する

連帯納付義務

 原則として地方税では、共有不動産に対する固定資産税は、納税者(共有者)が連帯して納付する義務を負うことになっています。

地方税法第十条の二 共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負う。


 例えば、Aさん(持分7/10)、Bさん(持分3/10)の2人で所有している土地の固定資産税が10万円の場合、持分に関係なくAさん、Bさんそれぞれが10万円の納税義務を負います。

 Aさん、Bさんのどちらか一人が10万円を納付すれば残りの1人の納税義務は消滅します。

固定資産税納税通知書の発送

 そのため、各個人ごとに納付することは認められないということになります。

 したがって、固定資産税の納税通知書は、共有名義1つにつき1通のみ代表者に送付されます。
あて名は、「○○様外○名様」となります。
上の例では、「A様外1名様」となりますね。

代表者は誰になるのか

 固定資産税の納税通知書が送付される代表者は、次の基準で判断されます。

・固定資産税のある市区町村やその近隣に住んでいる
・持ち分が一番多い
・登記簿に記載されている順序が早い人


共有不動産固定資産税の納付・精算方法

 したがって、共有不動産に対する固定資産税の納付・精算方法は次のようになります。

(1)代表者がその共有不動産に対する固定資産税を一括納付する
(2)その後、共有者が、持ち分に応じた固定資産税の負担額を精算する。

 Aさん(持分7/10)、Bさん(持分3/10)の2人で所有している土地の固定資産税が10万円の場合で、Aさんが代表者の場合には、まず、Aさんが全員分の固定資産税10万円を市区町村に納付します。

 それから、AさんとBさんで固定資産税の精算をするのですが、この場合、Bさんの固定資産税は3万円(10万円×持ち分3/10)ですので、BさんはAさんに3万円を支払って精算を完了させるのです。


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個人ごとに固定資産税を分割納付したい場合

共有資産分割納付申請書

 共有者それぞれが家族を持ち、離れたとこに住んでいると、固定資産税を持ち分に応じて精算することが困難になります。
 もしかしたら、共有者で自分の負担分を代表者に支払わずトラブルになっていることもあるかもしれません。

 そこで、一部の市区町村は、共有者全員の合意のもとに「共有資産分割納付(変更)申請書」などの書類を提出することで、各共有者の持分に応じた納付書を作成してくれるところもあります。

 一度、不動産のある市区町村に問合せしてみてください。

 ちなみに、名古屋市は、ホームページに
「ただし、所有されている土地・家屋が一つの納税通知書(納付書)で課税されている場合には、これらのうちの一部の土地または家屋を分けて納税通知書(納付書)をそれぞれ別の送付先にお送りすることはできませんのでご了承ください。」
と記載されていますので、困難なようです。



共有者ごとの分割納付に対応してくれる市町村

 インターネットで検索したところ、次の市町村は対応してもらえる可能性が高いです。
都道府県 市町村
山形県 新庄市
宮城県 岩沼市
茨城県 常陸太田市
埼玉県 白岡市
山梨県 都留市
愛知県 大口町
広島県 廿日市市
鳥取県 日野町
鳥取県 日南町
熊本県 五木村
長崎県 川棚町
沖縄県 那覇市
沖縄県 浦添市


分割納付になっても連帯納付義務はなくならない

 ただし、たとえ固定資産税の通知が分割されたとしても、共有者の連帯納税義務そのものがなくなるわけではありません。

 したがって、共有者の誰か一人でも固定資産税を払わない場合には、ほかの共有者の固定資産税の督促がくることになります。

共有資産の課税内容を別世帯の共有者にも知らせる

 共有者ことの分割納付には応じてもらえなくても、代表者以外の共有者に固定資産税のお知らせを送付してくれる市区町村もあります。

 たとえば、東京都町田市では、「共有固定資産に係る課税のお知らせ」送付希望申出書を提出すれば、対応してくれます。

 分割納付が無理でも、固定資産税のお知らせは、共有者全員に送付してほしいものです。
 希望する場合には、不動産のある市区町村に相談してみてください。

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代表者を変更したい場合

 市区町村は、上で説明した基準で判断した代表者に固定資産税の納税通知書を郵送します。
 しかし、代表者が病気で入院していたり、単身赴任していたりなど、固定資産税の納税が困難な場合もあります。

 そのような場合は、「共有代表者変更届出書」「書類送達先等届出書」(市町村で名前が異なります)を市町村に提出することによって、代表者を変更することができます。



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まとめ

 今回は、共有不動産の固定資産税をどのように納付するのかについて説明しました。
 固定資産税を共有者それぞれが別々に納付したいという人は多いと思います。

 しかし、各共有者宛に別々に固定資産税の納税通知書を郵送してもらえる市町村は、なかなかないようです。

 分割納付はダメでも、共有者全員に固定資産税の課税のお知らせを送付してもらうことができる市町村もあります。
とにかく、不動産のある市町村に相談してみましょう。

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※お断り

※記事の内容は、投稿日現在の税法等の規定によっております。税制改正等により最新情報でない場合もありますので、ご了承ください。

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