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延滞税とは?利率は?延滞税を安くする方法はあるのか?

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延滞税

税金の納付が遅れてしまった場合や滞納している場合には、その税金に上乗せして加算税が課税されます。

さらにそれに上乗せして、納付の遅れた日数の利息に相当する延滞税も課税されてしまいます。

延滞税は、税金の納付が遅れれば遅れるほど、高い金利(割合)でどんどん増えていき、ますます納税が困難になります。

そこで今回は、この延滞税について説明いたしましょう。

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延滞税|概要

延滞税とは?

延滞税とは、税金を定められた納付期限までに納められなかった場合に納めなければならない利息に相当する税金です。

いわば、ペナルティ的意味があります。

原則として納付期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、延滞税が自動的に課税されます。

具体的には、延滞税は次のように計算します。

本来納付すべき本税の額(1万円未満切捨て)×延滞税の割合×日数÷365日(1円未満切捨て)

延滞税の趣旨

延滞税がなければ、本来納付すべき税金(本税)と加算税がかかりますが、その後いくら納付が遅れてもまったく税額は増えません。

そうなれば、誰でも納付を先延ばしにしますよね。

そんなことのないよう、納付までの日数に応じて利息相当額を課税することによって、税金の滞納を減らす効果や、早く納税した人との不公平を解消するために延滞税が課されるのです。

延滞税が課税される場合

延滞税は、次のような場合に課税されます。

(1)申告などで確定した税額を法定納付期限までにすべて納付しなかったとき

(2)期限後申告書や修正申告書を提出して、納付しなければならない税額があるとき

(3)税務署から税額を認定された場合で、納付しなければならない税額があるとき

延滞税は本税だけに課税される

延滞税は、本税だけを対象として課されるものです。

つまり、加算税などに対しては、納付がいくら遅れようと延滞税が課税されることはありません。

たとえば、所得税の納付が遅れている税額が50万円、無申告加算税が7.5万円だった場合、所得税の50万円の納付が遅れれば遅れるほど延滞税の税額が増えていきますが、無申告加算税7.5万円の納付がいくら遅れてもこの7.5万円には延滞税がかかりません。

したがって、その後所得税の50万円を納付し、無申告加算税は納付していなかった場合には、延滞税がかかりませんので、それ以上納付すべき税額が増えることはありません。(無申告加算税のみ納付すればOKです。)

納付期限とは?

延滞税は、原則として納付期限の翌日から課税されますが、その「納付期限」とは、次の日をいいます。

期限内に申告した場合の納付期限

定められた期限内に申告書を税務署に提出した場合の納付期限は、法定納期限です。

たとえば、所得税確定申告を3月15日までに納付した場合の納付期限は、3月15日です。

例外的に、振替納税の手続きが済んでいる場合の納付期限は、4月の口座振替日(4月20ごろ)です。

※振替納税の場合で、残高不足により口座振替ができなかった場合には、3月15日から延滞税がかかることになります。

期限後申告や修正申告の場合の納付期限

期限後申告書や修正申告書を税務署に提出した場合の納付期限は、申告書を提出した日になります。

たとえば、所得税の修正申告書を5月20日に提出した場合には、5月20日が納付期限になります。

更正・決定の場合の納付期限

税務署が税額を認定する更正や決定の場合には、税務署が更正通知書を発送した日から1ヶ月後の日が納付期限になります。

一定の期間を延滞税の計算期間に含めないという特例

次の場合には、一定の期間を延滞税の計算期間に含めないという特例があります。

ただし、うそをついたりした場合など不正行為によって国税を免れた場合等は、この特例は適用されません。

(1)期限内に申告書を税務署に提出し、法定申告期限後1年を経過してから修正申告をしたとき又は更正があったとき

(2)期限後申告書を税務署に提出し、その後1年を経過してから修正申告又は更正があったとき

延滞税は損金に算入されない

延滞税や延滞金は、国税の計算上、損金(必要経費)に算入することはできません。

延滞税を損金(必要経費)に算入することを認めれば、延滞税の制裁的な性格を、税金で減殺することになってしまうからです。

地方税では延滞金と呼ぶ

延滞税は、国税の場合の名前です。

地方税では、国税の延滞税に相当するものを「延滞税」ではなく「延滞金」と呼びます。

国税の「加算税」を地方税では「加算金」と呼ぶのと同様です。

【具体例】

・国税:法人税、所得税、消費税、相続税など

・地方税:住民税、自動車税、固定資産税、不動産取得税、自動車取得税など

どうして国税と地方税では呼び方が異なるのでしょうね。統一すればいいと思うのですが・・・

延滞税の勘定科目

延滞税を支払った場合の勘定科目は、「租税公課」か「法人税等」が一般的でしょう。

ただし、個人の場合、「法人税等」という勘定科目はありませんので「租税公課」となります。

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延滞税|延滞税の利率

納付期限から2ヶ月以内

原則

延滞税は、納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日までの期間については、原則年7.3%の割合(利率)で課税されます。

特例

この年7.3%という割合は、市場金利が低い場合には、あまりにも高すぎる!!ということで、市場金利に連動して下がるしくみになっています。

具体的には、延滞税は、納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日までの期間については、次の「特例基準割合+1%」が原則の割合よりも低いときは、低い割合が適用されています。

・平成31年1月1日~令和1年12月31日:年2.6%

・令和2年1月1日~令和2年12月31日:年2.6%

・令和3年1月1日~令和3年12月31日:年2.5%

・令和4年1月1日~令和4年12月31日:年2.4%

※特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。

納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後

<原則

延滞税は、納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後については、年14.6%の割合(利率)で課税されます。

特例

延滞税は、納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日までの期間については、やはり市場金利が低い場合に連動させるために、次の「特例基準割合+7.3%」が原則の割合よりも低いときは、低い割合が適用されます。

・平成31年1月1日~令和1年12月31日:8.9%

・令和2年1月1日~令和2年12月31日:8.9%

・令和3年1月1日~令和3年12月31日:8.8%

・令和4年1月1日~令和4年12月31日:8.7%

ただ、特例の割合が適用されたとしても、とても高い利率ですね。

原則の年14.6%なんて適用されようものなら、消費者金融とあまり変わらない利率です。

これほど延滞税の利率が高いのは、滞納に対して延滞税が制裁的な意味をもっているからなのです。

税金を滞納するくらいなら、銀行からお金を借りて納付したほうが確実に納付税額は少なくなります。

とにかく、本税だけはがんばって納付しましょう。

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延滞税|利子税との違い

「延滞税」は、納付期限に納税が遅れた場合に対する遅延利息的なものです。

同じように、遅延利息的なものとして「利子税」があります。

利子税とは?

利子税は、所得税の延納制度に対する利息的な税金です。

所得税の延納制度は、申告書に延納をする旨の記載をし、通常の納付期限(原則3月15日)までに1/2以上の所得税を納付していれば、残りの税金は5月31日まで納付を延長できる制度です。

5月31日までに納税する分については、利子税がかかります。

延滞税と利子税の違い

延滞税は、納付期限に遅れた場合の遅延利息的なものです。

それに対し利子税は、延納制度によって期限が延長された場合の利息的なもので、融資を受けた際の約定利息的なものです。

そのような性格的な違いがあります。

そのため、延滞税は、必要経費(損金)にならないのに対し、利子税は必要経費にすることが認められています。

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延滞税|本税と延滞税とどちらから充当されるのか

本税だけでなく延滞税が増え続けている

税金を滞納している納税者が、納税したとします。

滞納税額の中には、本税だけでなく延滞税が日々増え続けています。

納税する際の納付書に本税と延滞税の内訳を記載しなかった場合もあります。

その場合には、納付税額は本税から優先的に充当されるのでしょうか、それとも、延滞税から優先的に充当されるのでしょうか。

民法では利子優先

民法では、利子先取りとなっています。

<参考:民法第491条1項>

債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。

つまり、元金より先に利子に充当される規定です。

税金で言えば、本税より先に延滞税に充当されるということですね。

税法は延滞税から充当される

しかし、税法では、本税からではなく、延滞税から充当される規定になっています。

<参考:国税通則法第62条2項>

第六十条第三項(延滞税の納付)の規定により延滞税をあわせて納付すべき場合において、納税者の納付した金額がその延滞税の額の計算の基礎となる国税の額に達するまでは、その納付した金額は、まずその計算の基礎となる国税に充てられたものとする。

このように、納税者の負担を少しでも軽くする納税者有利の規定となっています。

本税が完納されるまでは、納付税額全体が本税を納付したものとして扱われるということです。

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延滞税|延滞税を安くする方法

延滞税を安くする一番の方法は本税を早く納付すること

延滞税は、先に説明しましたように、本来納付すべき本税にしかかかりません。

逆にいえば、本税の滞納が残っていると、かなり高い割合(利率)で延滞税がどんどん増えていきます。

したがって、延滞税を安くする一番の方法は、何とかして早く本税を納付することです。

たとえば、銀行への借入金の返済を待ってもらってでも、税金の納付を優先するのです。

そうしないと、延滞税は予想以上のスピードで増えていきます。

延滞税の免除制度

災害等による期限の延長や納税猶予など、滞納が真にやむを得ない理由である場合には、延滞税が免除されることになっています。

また、税務職員が納税者から充分な資料提供があったにもかかわらず、誤った指導を信頼したことにより発生したことが立証できる場合も、延滞税は免除されることになっています。

ただし、この場合は、納税者が誤指導であることを知った日以後7日を経過したまでしか免除されません。

延滞税をまけてくれることはあるのか?

じつは以前は、上記の延滞税の免除の要件を満たさない場合でも、延滞税をまけてくれる事がよくありました。

もしかしたら、昔、延滞税をまけてもらったことがある、という方もみえるかもしれません。

しかし、時代は変わり、現在では原則「延滞税は免除しない」という方針に変わりました。

どうしてでしょうか。

それは、次の理由が考えられます。

・担当者によって延滞税をまけたりまけなかったりしたのでは、不公平になる。

・交渉がうまい、下手によって延滞税が変わるのは、不公平になる。

・国の財政状況が苦しい。

・もしかしたら、納税者に隠した資産がある可能性もある。

本税の見込み納付

たとえば、税務調査があった場合、調査結果で問題があれば、修正申告をすることをすすめます。

延滞税がかかりますので、少しでも早く修正申告書を提出して追加納税をすましたいものです。

しかし、税務調査当日に納付すべき税額が確定する訳ではありません。

調査官は、税務署に帰ったから、上司の決済を受けなければなりません。

税務署の見解に納得できないときは、反論をしていきます。

また、たとえ税額が決まっても、修正申告書を作成するのに日数がかかります。

一方で、税務調査の結果、税額が確定しないといっても、多額の追加納税が間違いなく発生するとわかっている場合には、延滞税が日々増えていくのを指をくわえて待つしかないのでしょうか。

じつは、追加納税(追加本税)の見込み納付をすることによって、見込み納付をした分について延滞税を防ぐことができるのです。

たとえば、所得税の追加納税が100万円程度発生すると予想される場合、たとえば100万円以上を見込み納付して、確定不足税額が100万円であれば、延滞税は見込み納付をした日以降は増えることはありません。

100万円は無理でも、50万円を見込み納付すれば、延滞税の増加を半分にすることができるのです。

なお、見込み納付額が多すぎた場合には、当然その分の還付を受けることができます。

まとめ

今回は、延滞税について説明いたしました。

延滞税は、市場金利よりもかなり高い利率でどんどん増えていきます。

何度も繰り返しますが、この恐ろしい延滞税を増やさないために、税金(本税)は、たとえ銀行への返済を遅らせてでも、借入してでもできる早く納税するようにしてください。

そうすれば、税金の滞納から早く抜け出すことができるはずです。

【投稿者:税理士 米津晋次

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