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持続化給付金、売上50%以上減少でももらえないことも。申請月に注意

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新型コロナウイルス関連で多くの事業者が申請しているのが、持続化給付金。
法人は最大200万円、個人事業主は最大100万円が給付され、返済は不要といったものです。

ただ、申請月に注意しないと、給付条件を満たしても1円ももらえない場合があったり、わずかしかもらえないこともあります。

そこで今回は、どの月の売上減少で持続化給付金を申請するといいかについて説明いたします。

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持続化給付金の条件は売上50%以上減少など

法人は最大200万円、個人事業主は最大100万円が給付される持続化給付金の給付条件について確認しましょう。


わかりやすく条件をまとめると
(1)2019年以前から売上があり
(2)2020年1月~12月で
(3)前年比売上50%以上減少した月がある
(4)個人事業主又は中小法人等(資本金10億円未満など)
というものです。

特に、(2)の2020年1月から12月で(3)前年比売上50%以上減少した月があること

が重要です。

→参考:持続化給付金対象者要件(中小企業庁)


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持続化給付金条件で使う「前年売上」とは

単純に前年売上と比較するとは限らない

持続化給付金支給条件の「前年比売上50%以上減少」といっても、単純に昨年同月の売上と比較するとは限りません。
次の区分により、前年売上は次のものになります。
区分 前年売上
法人
青色申告の個人事業主
前年同月の売上
白色申告の個人事業主 2019年年間売上÷12(つまり、平均月売上)

法人、青色申告個人事業主の前年売上

法人や青色申告をしている個人事業主の場合で使用する前年売上は、「前年同月の売上」とはいっても、これも単純ではありません。

実際には、申請時に提出する書類に記載された前年売上が使われます。
区分 前年売上
法人 「法人事業概況説明書」の裏面にある「月別売上高」
青色申告の個人事業主 青色決算書2面の「月別売上高」


売上を経理上、期中(年途中)は本来の請求月で計上しないで入金月で計上し、決算で調整しているような場合、
上記の書類に記載された「月別売上高」は、本来の売上と一致しないことになります。

3月の売上が100万円のところ、3月は2月で請求した売上入金110万円と経理していれば、「月別売上高」の3月は、通常110万円と記載されていることが多いのです。

このように、法人や青色申告の個人事業主が持続化給付金申請で使う「前年同月売上」は、あくまで書類に記載した金額になります。


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持続化給付金はいくらもらえる?

持続化給付金の給付額は、次の計算によることになっています。

・給付額=前年(度)の年間売上-2020年対象月の売上×12

個人事業主で3月で申請する場合は、
・給付額(100万円が上限)=2019年の年間売上-2020年3月の売上×12

3月決算法人で3月で申請する場合は、
・給付額(200万円が上限)=2020年3月期事業年度の年間売上-2020年30月の売上×12


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条件を満たしても持続化給付金がもらえないことも

持続化給付金の支給額は上記の計算によりますから、給付金申請条件をすべて満たしても、申請月によっては給付金がもらえないことも出てきます。

<給付金がもらえない例>
前年年間売上3000万円、前年3月売上600万円、2020年3月売上250万円(前年比50%以上減少)の場合で給付額を計算すると

・給付額=3000万円-(250万円×12)=0円

月により売上に大きく変動がある場合で、前年売上が多い月を申請月として選択すると、このようにいくら支給条件を満たしても、計算上給付金が1円ももらえないこともあるのです。


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持続化給付金をどの月で申請すべきか

上記の例は極端ですが、申請月をどの月にするかによって持続化給付金額に差が出るしくみになっています。
したがって、できるだけ多くの給付金をもらうためには、条件を満たしたからすぐ申請するのではなく、どの月で申請すべきかじっくり検討する必要があります。

給付金満額がもらえる売上高の目安

2020年の月間売上が、いくら以下なら給付金満額の200万円(個人事業主は100万円)がもらえるか、逆算で計算することができます。
その計算式は、次のとおりです。
区分 満額がもらえる月間売上
法人 (「前年(度)の年間売上-200万円」)÷12
個人事業主 (「前年(度)の年間売上-100万円」)÷12

たとえば、法人で前年(度)の年間売上が3000万円なら、給付金満額がもらえる月間売上上限額は、

・(3000万円-200万円)/12=233万円

となります。

つまり、前年比50%以上売上が減少している月で、月間売上が233万円以下の月を選べば給付金を満額受けることができるのです。


2020年12月までの見込で判断

2020年の売上で、前年比50%以上減少し、給付金が満額もらえる計算になれば、すぐに申請するといいですね。

しかし、前年比50%以上売上が減少しても、満額の給付金が受けられない場合はどうすればいいのでしょうか。

持続化給付金の申請期間が2021年(令和3年)1月15日(金)までですので、今後2020年12月までに給付金満額がもらえる月が発生しそうかで判断するしかありません。

一応、2020年12月まで待って、それまでの一番給付金が多くなりそうな月で申請するのも一つです。

給付金を早くもらうことを優先するなら、給付金が満額にならなくても、早く申請する選択もあるでしょう。

給付金をできるだけ多くもらうことを優先するのか、給付金をできるだけ早くもらうことを優先するのかの選択になりますね。


まとめ

今回は、持続化給付金の申請にあたり、どの月で申請するかが重要なことを説明しました。
売上が前年比50%以上減少しても、申請月によっては、給付金が満額受け取れる場合も、1円も受け取れない場合もあります。

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【投稿者:税理士 米津晋次


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