加入している養老生命保険などが満期になると保険金がもらえます。
個人が受け取る満期保険金は、金額によって所得税等がかかることがあります。
もし、満期到来日に保険金を受け取らず、据え置いた場合に課税されるのは、本来の満期日なのか、実際に保険金を受け取ったときなのか、わかりにくいですね。
そこで今回は、満期保険金を据え置いた場合にいつ課税になるのかについて説明しましょう。
目次
満期保険金の受取りを据え置いた場合
契約者と満期保険金受取人が同じ個人である養老保険について、満期を迎えた際に、満期保険金を受け取らずに据え置いた場合には、いつ課税されるのでしょうか。据置保険金は満期日で課税される
満期保険金を満期日に受け取らないで据置くことができます。その据置可能期間は、保険会社によって異なると思いますが、3年~10年かつ、満期となった契約の保険期間以内という保険会社が多いようです。
据え置いたなら、保険金を受け取っていないから、課税されないだろう、と思いがちです。
しかし、たとえ据え置いたとしても、満期日の属する年に一時所得として課税されることになっています。
据置後、実際に受け取った日の属する年で課税されるのではありません。
→参考:満期保険金を据置いた場合、税金はいつかかりますか?(日本生命)
→参考:保険金をすえ置いた場合、すえ置金を引き出す時に課税されますか?(第一生命)
据置利息も雑所得として課税される
据置いた後には、据置利息がつく場合があります。保険会社によっておは、1年以内に引き出すと利息がつかない場合もあるようです。
この据置利息の課税関係はどうなるのでしょうか。
結論から言えば、据置利息の税制上の扱いは、「雑所得」となっています。
同じ利息でも、保険金の据置利息は、預金利息のような源泉分離課税の対象になっていません。
したがって、据置利息について原則として、確定申告が必要です。
ただし、据置利息を含め、年間所得が48万円以下の人や、サラリーマンや年金受給者などに適用される申告不要制度に該当すれば、確定申告は不要です。
(申告不要制度は所得税だけの制度ですので、住民税の申告は必要です。)
→関連記事:確定申告が必要な人|サラリーマン、年金収入、退職金、その他の所得
満期保険金の税金
満期保険金は何税の課税対象?
個人が満期保険金を受け取った場合には、保険料の負担者(契約者)と保険金受取人の組み合わせにより、所得税又は贈与税の課税の対象になります。契約者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
Aさん | Aさん | 所得税 |
Aさん | Bさん | 贈与税 |
→参考:生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき(国税庁)
契約者=満期保険金受取人の場合(1)
上記の表のように、保険契約者と保険金受取人とが同一人の場合は、所得税の課税対象になります。所得税では、所得を10種類に区分していますが、満期保険金は原則として、一時所得になります。
一時所得金額は、次のように計算します。
・一時所得金額=「受け取った保険金額」-「既に払い込んだ保険料又は掛金の額」-特別控除額50万円
さらに、課税対象(総合課税)となるのは、この金額の1/2です。
なお、この特別控除額50万円は、保険ごとではありません。
したがって、特別控除前の一時所得が40万円の保険が2本あった場合でも、特別控除額は50万円です。
・一時所得金額=40万円×2本-特別控除額50万円=30万円
この場合、課税されるのは、30万円×1/2=15万円となります。
→参考:一時所得(国税庁)
契約者=満期保険金受取人の場合(2)
保険契約者と保険金受取人とが同一人の場合でも、満期保険金を年金形式で分割して受け取った場合には、一時所得でなく雑所得(公的年金等以外)になります。雑所得金額の計算は、次のようになります。
・雑所得金額=「その年に受け取った年金の額」-「その金額に対応する払込保険料又は掛金の額」
→参考:保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金(国税庁)
契約者≠満期保険金受取人の場合
保険契約者と保険金受取人とが異なる場合には、受け取った満期保険金は、贈与税の対象になります。保険料負担者である契約者から満期保険金が贈与ざれたものとされます。
→参考:贈与税の対象になる生命保険金(国税庁)
まとめ
今回は、満期保険金を据え置いた場合にいつ課税になるのかについて説明しました。満期保険金を据え置いてすぐに受け取らなかったとしても、本来の満期日で一時所得が発生するということです。
据置後、実際に受け取ったときに課税されるのではないことに注意しましょう。
→関連記事:保険満期金・解約返戻金を受け取った場合の確定申告・税金|扶養への影響も考える
【投稿者:税理士 米津晋次】