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住民税の申告義務2018年(平成30年)分|申告が必要な人、いつ申告するのか、忘れたら?など

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住民税申告
税務署に提出する所得税の確定申告については、ある程度認知されています。
しかし、住民税の申告のしくみについては理解されている人が少ないようです。

住民税の申告書が市町村から送付されてきて、びっくりする人もみえます。

そこで今回は、住民税の申告義務について説明しましょう。

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目次


住民税の申告義務2018年(平成30年)分|申告が必要な人

住民税とは

住民税とは、道府県民税と市町村民税を足したもののことです。
そして、住民税は、所得税と同じく、1年間の所得に対して課税される地方税です。

住民税には、所得に応じた所得割と呼ばれる部分だけでなく、納税者が同額に負担する均等割と呼ばれる部分もあります。

住民税の申告義務は多くの人にはない

住民税には、均等割と呼ばれる部分がありますので、原則としてすべての人に住民税がかかります。

しかし、住民税の申告義務は、多くの人にはありません。
住民税の申告義務は全ての人にあるわけではないのです。

住民税の申告義務がない人

◆給与以外に収入がないサラリーマン、パート、アルバイト

サラリーマン、パート、アルバイトは、1年間の所得情報を勤務先が翌年1月にそれぞれの住所の市町村に報告しています。
給与支払報告書の提出義務が会社にはあるからです。

給与以外に収入がなければ、勤務先から提出する所得情報だけで充分ですから、そのようなサラリーマン、パート、アルバイトは住民税の申告義務はありません。

◆所得税の確定申告をした人

商売をしている人をはじめとした所得税の確定申告をする人も、住民税の申告義務はありません。
なぜなら、所得税の確定申告をすると、税務署を経由して所得情報が自分の住所のある市区町村へ転送されるからです。

そういったしくみなので、市町村では、住民税の計算に必要な所得情報を得ることができます。

◆公的年金等(国民年金、厚生年金など)の所得だけの人

国民年金や厚生年金、企業年金、恩給などの公的年金等の所得だけの人についても、住民税の申告義務はありません。
年金事務所などから所得情報がお住まいの市区町村に提出されるからです。

◆上場株式等の配当等で住民税が徴収された配当所得だけの人

上場株式等の配当等で、支払時に住民税が徴収された配当所得だけの人については、それで住民税の課税が完了していますので、住民税の申告義務はありません。

◆特定口座の源泉徴収あり口座における株式等譲渡所得だけの人

株式等譲渡所得だけの人で、特定口座の源泉徴収あり口座を使っている人は、株式等の売却時に住民税が徴収され、課税関係が完了していますので、住民税の申告義務はありません。

◆所得のない人(1年間無職)

年間所得が全くない人は、住民税の申告義務はありません。

◆生活保護を受けている人

生活保護を受けている人も、住民税の申告義務がありません。

住民税の申告が必要な人

◆サラリーマンの20万円以下など確定申告不要な所得がある人

1か所だけの勤務先からの給与収入があり、給与の収入金額が2,000万円以下のサラリーマンなど(給与所得者)は、副業などの給与以外の所得が20万円以下の場合には、確定申告しなくてもいいという規定があります。

しかし、この確定申告不要の規定は、所得税の規定であって、住民税には適用されません。

したがって、給与以外の所得が20万円以下の場合で所得税の確定申告不要な人でも、住民税の申告義務があります

インターネットで得られる情報では、所得税の確定申告にしか触れていない場合がほとんどです。
繰り返しますが、住民税については、確定申告不要制度は適用されませんので、ご注意ください。

◆公的年金等の収入金額が400万円以下の人で確定申告不要な人など

公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合には、所得税の確定申告書の提出義務はありません。

しかし、この確定申告不要の規定も、所得税に関する規定であって、住民税には適用されません。

したがって、公的年金等に係る雑所得以外に所得がある人で所得税の確定申告不要な人でも、住民税の申告義務があります。

◆そのほか所得税の確定申告義務がない人で所得のある人

上記以外に、たとえば所得が38万円以下の人には、所得税の確定申告義務は、ありません。

しかし、そのうち、少しでも所得のある人は、原則として住民税の申告が必要です。
所得が38万円以下でも、35万円を超える場合には、住民税が課税されます。

また、たとえ住民税が非課税となる所得(35万円以下)しかない人でも、国民健康保険や後期高齢者保険、介護保険料の保険料の計算のために所得の情報が必要になりますので、住民税の申告が必要です。

◆給与支払報告書又は公的年金等支払報告書のみの人で、社会保険料控除、扶養控除、医療費控除等を追加して受けようとする人

給与所得のみの人や公的年金のみの人について、社会保険料控除、扶養控除、医療費控除等を追加して受けようとする人で所得税の確定申告をしない人も、住民税の確定申告が必要です。

◆同じ世帯内のどなたにも扶養されていない人


◆障害者、未成年者、寡婦又は寡夫で合計所得金額が125万円以下の人



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住民税の申告義務2018年(平成30年)分|いつ申告するのか

住民税の申告期限は、翌年3月15日

住民税の申告期限は、所得税の確定申告と同じく、翌年3月15日です。
3月15日が休日にあたる場合には、次の月曜日が申告期限になります。

住民税申告書の受付は、翌年2月1日から始まります。
平成30年分(2018年分)の住民税の申告期限は、平成31年(2019年)3月15日(金)になります。

住民税の申告書提出先

住民税申告書の提出先は、翌年1月1日現在に自分の住所がある市区役所や町村役場です。

◆臨時の申告会場が開設される

多くの各市町村では、臨時の申告会場が設けられ、相談しながら申告ができます。
市町村の広報などで日程を確認しましょう。

日程がわからない場合は、市区町村に問合せてください。

住民税の申告で必要なもの

住民税の申告の際、次のものが必要です。
・所得がわかる資料(源泉徴収票、収入・必要経費資料)
・印鑑
・所得控除を受けるための資料(控除証明書など)
・マイナンバーがわかるもの

◆住民税申告にもマイナンバーの確認できるものと身元確認書類も必要です。

平成28年(2017年)分住民税の申告書からは、マイナンバーの記載が必要になりました。

また、住民税の申告書を提出する際には、個人番号カード(マイナンバーカード)か、番号確認書類と身元確認書類が必要になりました。
・番号確認書類とは、マイナンバー通知カード又はマイナンバーの記載のある住民票をいいます。
・身元確認書類とは、運転免許証やパスポート、医療保険の保険証などをいいます。

◆代理人が住民税の申告書を提出する場合は、代理人の委任状や身元確認書類も必要

妻が夫の住民税申告書を提出する場合のように、代理人が住民税の申告書を提出する場合には、上記に加えて次のものが必要です。
・委任状
・代理人の身元確認書類


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住民税の申告義務2018年(平成30年)分|申告を忘れたら?

住民税の申告を忘れたらすぐに市町村に相談

住民税の申告書の受付期間は、上記で説明したように、翌年2月1日から3月15日です。
この期間中に住民税の申告ができなかった人や、提出期限後に自分が申告しなくてはいけなかったことに気づいた場合には、市区町村の税務課などへ連絡をして相談しましょう。
それもできるだけ早めく相談してください。

申告義務があって住民税が発生した場合には、次で説明する延滞金が日割りでかかってきます。

住民税の加算金や延滞金がかかる場合がある

◆住民税の加算金はかからないことが多い

住民税の申告が遅れると、罰則という意味の加算金や、利息相当の延滞金がかかる場合があります。
ただ、個人の加算税については、知らなかった場合など悪質でない場合は、免除されることが多いようです。

住民税の延滞金の税率など

◆納期限の翌日から1ヵ月を経過する日までの延滞金の税率

納期限の翌日から1ヵ月を経過する日までの延滞金の税率の原則は、年7.3%です。

ただし、金利状況を考慮して、現在は次のように軽減されています。
・平成28年…年2.8%
・平成29年…年2.7%
・平成30年~平成31年…年2.6%

◆納期限の翌日から1ヵ月を経過した日以後の延滞金の税率

納期限の翌日から1ヵ月を経過した日以後の延滞金の税率は、原則年14.6%です。

ただし、こちらも金利状況を考慮して、現在は次のように軽減されています。
・平成28年…年9.1%
・平成29年…年9.0%
・平成30年~平成31年…年8.9%

◆延滞金の端数処理

延滞金の計算の対象となる税額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切捨てになります。
また、その税額の全額が2,000円未満であるときは、その全額を切り捨てます。

計算した延滞金に100円未満の端数があるときは、その端数を切捨てます。
また、その金額の全額が1,000円未満であるときは、その全額が切り捨てられます。

◆延滞金の計算例

事例:納期限8月31日の住民税600,000円を同年9月30日に納めた場合

延滞金の計算:税額600,000円×2.7%×30日÷365=1,331円 →延滞金額:1,300円(100円未満端数切捨て)




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まとめ

今回は、住民税の申告義務について説明しました。
特に、所得税の確定申告不要制度を利用している場合には、住民税の申告が必要になります。

今回の記事を参考に、住民税の申告を期限内にしましょう。


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【投稿者:税理士 米津晋次

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