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給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)の摘要欄の記載方法 令和6年(2024年)分

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源泉徴収票摘要欄

 年末調整で作成する「給与所得の源泉徴収票」(給与支払報告書)の摘要欄には、何を記載するのかが決まっています。記載を省略してはいけません。
 記載すべき内容を記載しないと、税務署や市町村から問合せが来たり、場合によっては受けられる控除が適用にならず税額が多くなってしまう可能性もあります。
 ただ、給与所得の源泉徴収票の摘要欄に記載すべき内容が多くわかりにくいです。

 そこで今回は、「給与所得の源泉徴収票」(給与支払報告書)の摘要欄の記載についてまとめてみます。
 なお、本人に渡したり税務署に提出する「給与所得の源泉徴収票」と同じ様式のものを市町村への提出するのですが、市町村ではこの書類を「給与支払報告書」と呼びます。

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定額減税関係

 令和6年分所得税の定額減税に関する事項を次のように記載します。
(注)「摘要」欄の記載は、定額減税に関する事項を最初に記載します。

年末調整をした場合

内容
記載方法
実際に控除した年調減税額「源泉徴収時所得税減税控除済額 ×××円」
年調減税額のうち年調所得税額から控除しきれなかった金額「控除外額 ×××円」
(注)控除しきれなかった金額がない場合は「控除外額0円」
合計所得金額が1,000万円超で、同一生計配偶者を年調減税額の計算に含めた場合「非控除対象配偶者減税有」
(注)同一生計配偶者が障害者、特別障害者又は同居特別障害者に該当する場合「減税有」の追記でOK。

■記載例

(クリックすると拡大表示できます)
源泉徴収票摘要欄(定額減税一般)

源泉徴収票摘要欄(非控除対象配偶者減税有)

(引用:国税庁)

年末調整をしなかった場合

 年末調整を⾏わずに退職し再就職しない場合や、令和6年分の給与の収入⾦額が2,000 万円を超えるなどの理由により年末調整の対象とならなかった場合は、令和6年分所得税の定額減税に関する事項の記載は不要です。

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扶養家族が5人以上いる場合

 控除対象扶養親族又は16歳未満の扶養親族が5人以上いる場合には、5人目以降の控除対象扶養親族又は16歳未満の扶養親族の氏名を記載します。
(注)控除対象扶養親族のマイナンバーについては、「摘要」欄に記載せず、「備考」欄に記載します。
 この場合、氏名の前には括弧書きの数字を付し、「(備考)」欄に記載するマイナンバーとの対応関係が分かるようにします。
 また、この欄に記載される控除対象扶養親族又は16歳未満の扶養親族が次に該当する場合には、それぞれ次の内容を記載します。
場合
記載方法
16歳未満の扶養親族である場合氏名の後に「(年少)」と記載
控除対象扶養親族が非居住者である場合氏名の後に控除対象扶養親族の分類(下表)に対応する数字を記載。
また、16歳未満の扶養親族が国内に住所を有しない方の場合には、氏名の後に「(非居住者)」と記載。
■控除対象扶養親族の分類
控除対象扶養親族の分類
数字
居住者00
※源泉徴収票を書面で税務署へ提出する場合は、空欄とします。
非居住者(30歳未満又は 70歳以上)01
非居住者(30歳以上 70歳未満、留学生)02
※「留学生」とは、留学により国内に住所及び居所を有しなくなった方をいいます。
非居住者(30歳以上 70歳未満、障害者)03
非居住者(30歳以上 70歳未満、38 万円以上送金
※「38 万円以上送金」とは、扶養控除の適用を受けようとする居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている方をいいます。
04
※30歳以上70歳未満の非居住者が上記02~04の複数に該当する場合は、いずれかひとつに記載します。

■記載例

(クリックすると拡大表示できます)
源泉徴収票摘要欄(5人以上)

(引用:名古屋市(一部加工))

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年の途中で転職した場合(中途入社)

 年の途中で転職し、その就職前に他の支払者が支払った給与等を通算して年末調整を行った場合には、次の金額を記載します。
1前勤務先の所在地、氏名又は名称
2前勤務先で支払を受けた給与等の支給金額
3前勤務先で徴収された所得税(復興特別所得税を含む)
4前勤務先の給与等から控除された社会保険料の金額
5前勤務先の退職年月日

■記載例

(クリックすると拡大表示できます)
源泉徴収票摘要欄(前職)

(引用:名古屋市(一部加工))

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控除対象配偶者以外の配偶者が障害者である場合

 同一生計配偶者(控除対象配偶者を除きます。)がいる方で、その同一生計配偶者が障害者、特別障害者又は同居特別障害者に該当する場合は、同一生計配偶者の氏名及び同一生計配偶者である旨を記載します。
(例「氏名(同配)」)。

■記載例

(クリックすると拡大表示できます)
源泉徴収票摘要欄(非控除対象配偶者が障害者)

(引用:国税庁)
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所得金額調整控除の適用がある場合

 所得金額調整控除の適用がある場合は、該当する要件に応じて、次のとおり記載します。
要件
記載方法
本人が
特別障害者
(記載不要)
同一生計配偶者が
特別障害者
同一生計配偶者の氏名(同配)国税 花子(同配)
扶養親族が
特別障害者
扶養親族の氏名(調整)国税 一郎(調整)
扶養親族が
年齢23歳未満
扶養親族の氏名(調整)国税 一郎(調整)
 ただし、上記「同一生計配偶者」又は「扶養親族」の氏名が「(源泉・特別)控除対象配偶者」欄、「控除対象扶養親族」欄又は「16歳未満の扶養親族」欄に記載されている場合は、記載を省略できます。

継続勤務しないため等住民税の特別徴収ができない場合(普通徴収)

 継続して給与等の支払がないパートタイム・アルバイトの方などで、特別徴収することができない場合は、「普通徴収」と記入します。

参考

給与所得の源泉徴収票(PDFファイル。国税庁)
令和7年度個人の市民税・県民税給与支払報告書の作成と提出の手引き(PDFファイル。名古屋市)

まとめ

 今回は、「給与所得の源泉徴収票」(給与支払報告書)の摘要欄の記載についてまとめてみました。
 特に令和6年(2024年)分は、定額減税についての記載が必要なため面倒です。
 今回の記事を参考に、「給与所得の源泉徴収票」(給与支払報告書)の摘要欄の記載を正しくしてください。


【投稿者:税理士 米津晋次

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