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「医療費のお知らせ」を利用した医療費控除のやり方・注意点

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 医療費控除を受けるには「医療費控除の明細書」を作成しなければなりません。
 健康保険組合や協会けんぽから届く「医療費のお知らせ」を医療費控除に使用できれば、便利ですよね。

 そこで今回は、「医療費のお知らせ」を利用した医療費控除のやり方や注意点について説明いたします。

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「医療費のお知らせは」医療費控除に使える

「医療費のお知らせ」(医療費通知)とは?

 会社員の方には、毎年1月下旬から2月初めに、勤務先から昨年分の「医療費のお知らせ」又は「医療費通知」が配布されると思います。
 健康保険組合によっては、紙による「医療費のお知らせ」は発行されず、個人向け健康ポータルサイトWEBから確認することになっている場合もあります。
 国民健康保険加入の方の「医療費通知」は、直接郵送されてきます。市町村によって、3ヶ月分ごとや半年ごとに郵送されてきます。(東京都は年2回、名古屋市は年3回、横浜市は年1回、福岡市年6回など。※最新の状況は各市町村へご確認ください。)

 「医療費通知」「医療費のお知らせ」とは、保険診療を受けた医療機関等からの請求をもとにかかった医療費を一覧表形式でお知らせするものです。


 そこには、診療を受けた人、診療年月、診療区分、日数、医療機関名、医療費の総額、組合又は協会けんぽからの支払い額、国等からの支払い額、加入者の支払い額、整理番号が一覧表になっており、加入者の支払い額の合計額も記載されています。

 被保険者本人分の医療費だけでなく、被扶養者となっている家族の医療費も掲載されています。
医療費のお知らせ

<クリックで拡大できます。画像引用:協会けんぽ>

医療費控除を受けるには原則「医療費控除の明細書」の作成が必要

 医療費控除の適用を受けるためには、原則として「医療費控除の明細書」に必要事項を記入し、確定申告書に添付して所轄税務署に提出する必要があります。
医療費控除の明細書(平成令和)

例外的に「医療費控除お知らせ」「医療費通知」を医療費控除に利用できる

 ただし、例外で平成29年分以後の医療費控除の手続きにおいては、健康保険組合や協会けんぽから送られてきた「医療費のお知らせ」が、一定の条件に該当する場合には、医療費控除を受ける際の添付書類として利用することができるようになりました。

 この「一定の条件」とは、次の事項の記載があるものです。
1 被保険者等の氏名
2 療養を受けた年月
3 療養を受けた者
4 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
5 被保険者等が支払った医療費の額
6 保険者等の名称
 これらの項目は、「医療費のお知らせ」に通常印刷されているはずです。

 →医療費を支払ったとき(国税庁)


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「医療費のお知らせは」を利用した医療費控除のやり方・書き方・注意点

1年前の明細に線を引く

 「医療費のお知らせ」には、もう1年前の11月や12月の医療費が掲載されている場合があります。
 これらは、今回の医療費控除の対象外ですので、線を引いて除外し、除外した金額を集計してください。

 そして、「加入者の支払い額の合計額」をその除外したものの集計額を引いて金額へ訂正します。

記載に欠落・不備があるものを洗い出す

 「医療費のお知らせ」に記載されたものうち、上記1~6の記載事項に欠落や不備がある場合には、その行は医療費控除には利用できません。
 その行については、次のいずれかの方法で医療費控除の対象にします。
1欠落している事項を補完記入する。
1領収書等に基づいて「医療費控除の明細書」を作成して、確定申告書に添付する。

「医療費のお知らせ」の補完方法

 欠落や不備がある明細について、欠落等している事項を補完する方法を選択する場合は、次のようにします。
医療費のお知らせ補完方法

※クリックすると拡大されます。<画像引用:医療費に関する手続きについて(Q&A)国税庁>

10月以降の医療費があれば「医療費控除の明細書」を作成

 健康保険組合や協会けんぽに記載されている「医療費のお知らせ」は、10月分までの医療費が記載されている場合が多いです。
 つまり、それ以降12月末までの医療費は記載されていません。

 したがって、記載されていない医療費については、通常と同じように「医療費の明細書」を作成することになります。

 なお、国民健康保険の場合には、市町村によって3ヶ月ごとや半年ごとに「医療費通知」が郵送されてきますが、11月から12月診療分について、3月に郵送になる場合には、それを待ってからでもいいでしょう。
 (例)名古屋市:11月、12月診療分を2月発送、大阪市:11月、12月診療分を3月上旬発送、福岡市:10月、11月診療分を2月10日ごろ発送
 ※最新の状況は各市町村へご確認ください。

自由診療・自費診療の医療費がある場合

 健康保険が適用されない自由診療・自費診療(10割負担)の医療費で医療費控除の対象になるものがある場合には、それらについては「医療費のお知らせ」には記載されていませんので、「医療費の明細書」を作成します。

 歯医者さんで支払ったものが多いようです。金など高額な材料を使用した場合や、子供の歯列矯正などが該当します。

 →歯科の自由診療(自費診療、保険外)は対象になるのか?
 →医療費控除で歯科矯正は対象?(子供の場合、大人の場合、書き方)

市販薬や交通費がある場合

 医療費控除の対象となる市販薬(風邪薬・絆創膏など)がある場合や、医療費控除の対象となる交通費なども、「医療費のお知らせ」には記載されていません。

 これらについても、「医療費の明細書」を作成します。

 →医療費控除|薬局で購入した薬代(風邪薬・絆創膏など)は対象になるのか
 →出産の医療費控除のポイント|検診・タクシー代、出産手当・出産一時金


記載されている金額と支払った金額が異なる場合

 「医療費のお知らせ」には、加入社の支払額は1円単位で記載されています。
 一方、実際に支払っているのは10円単位(10円未満の端数四捨五入)だと思います。

 このように、「医療費のお知らせ」の記載額と実際に支払った金額が異なる場合には、次のいずれかを選択します。
1「医療費のお知らせ」に記載している金額のまま医療費控除を適用する。
2「医療費のお知らせ」の余白に実際に支払った金額を付記し、「加入者の支払い額の合計額」を訂正する。
3実際に支払った金額の合計額を「医療費控除の明細書」の「1 医療費通知に関する事項」の「(2) (1)のうちその年中に実際に支払った医療費の額」欄に記載する。
 面倒ですから、「医療費のお知らせ」の記載金額そのままを適用することが多いのではないでしょうか。

自己負担分の免除を受けた場合

 自己負担の医療費のうち、公費負担医療制度や市区町村による医療費助成などで減免を受けたものがある場合にも、やるべきことがあります。「医療費のお知らせ」には、減免を受けた医療費も記載されているからです。

 その場合には、その減免額を「医療費控除の明細書」の「1 医療費通知に関する事項」のうち「(3) (2)のうち生命保険や社会保険などで補填される金額」に記載し、「医療費のお知らせ」に医療費を補填する金額がある旨を付記します。

「医療費のお知らせ」への付記方法

 「医療費のお知らせ」への付記は、次のように記載します。
医療費のお知らせへの付記方法

医療費のお知らせへの付記方法2

※クリックすると拡大されます。<画像引用:医療費に関する手続きについて(Q&A)国税庁>

「医療費のお知らせ」と「医療費控除の明細書」を申告書に添付

 補完等した「医療費のお知らせ」と作成した「医療費控除の明細書」を所得税確定申告書を税務署へ提出する際に添付します。

領収書は5年間保存する

 「医療費の明細書」を作成したからといって、医療費の領収書を廃棄していいのではありません。申告期限である3月15日から5年間保存する義務があります。

 後日、税務署から問い合わせがあって領収書がない場合には、その領収書がない医療費について医療費控除が認められないこともあります。

 領収書はしっかり保存しましょう。

 なお、「医療費のお知らせ」に記載されたものうち、記載事項に欠落や不備があって補完した場合には、「医療費控除の明細書」を作成していませんが、その領収書についても5年間保存が必要です。

医療費に関する手続きについて(Q&A)(PDFファイル。国税庁)


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まとめ

 今回は、「医療費のお知らせ」「医療費通知」を利用した確定申告のやり方や注意点について説明しました。

 すべての医療費を領収書を見て「医療費控除の明細書」を作成するのは面倒ですし、集計も大変です。
 「医療費のお知らせ」という便利なものがありますので、今回の記事を参考し、これをうまく活用して医療費控除をするようにしましょう。


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【投稿者:税理士 米津晋次






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