所得税の確定申告書の提出先は、原則として住所地の所轄税務署です。
でも、翌年になって引っ越しした場合は、どこの税務署に提出すればいいのでしょうか?
12月末日現在の住所の所轄税務署なのでしょうか?
それとも、新住所の所轄税務署なのでしょうか?
そこで今回は、引っ越しした場合の所得税確定申告書の提出先について説明しましょう。
目次
所得税確定申告|引っ越した場合の提出先
新住所の所轄税務署に提出する
所得税確定申告書は、申告書の提出時点で住んでいる所の所轄税務署に提出することになっています。したがって、翌年1月に引っ越した場合には、確定申告書を前の住所の所轄税務署に提出するのではなく、新住所の所轄税務署に提出します。
(例)
引っ越し日 | 申告書提出日 | 提出先 |
翌年1月20日 | 翌年3月10日 | 新住所の所轄税務署 |
所得税・消費税の納税地の異動に関する届出が不要に
引越しなどにより納税地が変わった場合には、以前は「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を引っ越し前の所轄税務署に提出することになっていました。しかし、この届出書の提出は不要になりました。
所得税確定申告書に新しい納税地(通常は住所地)を記載するだけでいいのです。
参考:→「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する手続」(国税庁)
所得税確定申告|引っ越した場合の注意点
引っ越しをした場合の確定申告では、提出先以外でも注意すべき点がいくつかあります。申告書に記載する住所
所得税確定申告書には、住所を記載するところがいくつかあります。引っ越しした場合には、どのように記載するのが正しいでしょうか。所得税確定申告書第一表及び第二表の「住所」欄には、申告書を提出する時点の住所を記載します。つまり、新住所ですね。
それに対し、「◯年1月1日の住所」欄には、1月以降に引っ越した場合は、引っ越し前の住所を記載することになります。
記入欄 | 記載すべき住所 |
住所 | 申告書を提出する時点の住所 |
1月1日現在の住所 | 引っ越し前の住所 |
整理番号
以前に所得税確定申告書を提出したことがある人には、整理番号がついています。しかし、この整理番号は、提出先の税務署が変わると変わってしまいます。
したがって、引っ越した場合の確定申告書の整理番号欄は、空白にしましょう。
振替納税(継続できるようになりました)
所得税の納付は、振替納税(口座振替)にすると銀行に行く手間もなく、引き落としも4月20日ぐらいになり便利です。そうしている人も多いのではないでしょうか。令和4年分までは、確定申告書の提出先税務署が変わると、以前に届出した振替納税は無効になってしまいました。。
しかし、今回の令和5年分の確定申告からはその点について配慮がされました。申告書に「振替納税継続希望」とすることによって、前の税務署に提出した振替納税口座情報が新しい税務署に引き継がれ、それ以外の手続きなしで、引き続き口座振替が適用されることになりました。
では、確定申告書のどこに「振替納税継続希望」と記載するかというと、所得税確定申告書第一表の左上を見てください。
「振替継続希望」と書かれた項目がありますので、ここに◯をつけてください。それだけです。
もちろん、引っ越しによって振替納税先に届けていた口座のある銀行等が遠くなった等の理由で振替納税の口座を変更したい場合は、改めて振替納税の届出をしてください。
その年の確定申告分から振替納税を希望する場合には、3月15日までに税務署に到着するように届出書を提出してください。
→ 口座振替依頼書(国税庁、PDFファイル)
まとめ
今回は、引っ越しした場合の所得税確定申告書の提出先や、その場合の注意点について説明しました。この記事を参考に、所得税確定申告書の提出先と記載方法を間違えないようにしましょう。
また、振替納税の手続きをしていた人は、「口座振替依頼書」の再提出か「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」の提出を忘れないでくださいね。
【投稿者:税理士 米津晋次】