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借換えをした場合の住宅ローン控除は要注意!|適用条件、計算方法など

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金利が下がっていますので、住宅ローンの借り換えをされた方も多いと思います。
住宅ローンは多額ですから、わずかな金利の差でも、返済額が少なくなり、助かりますよね。

住宅ローンの借り換えをされた方の中には、住宅ローン控除を受けられている途中という方もみえると思います。

そこで今回は、住宅ローンの借り換えをした場合の住宅借入金控除(住宅ローン控除)について説明します。

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住宅ローン控除|住宅ローンの借り換え

住宅ローン控除(住宅ローン控除)の概要

住宅借入金控除(住宅ローン控除)とは、正しくは「住宅借入金等特別控除」といい、一住宅ローンを組んでマイホームを購入したりした場合に、条件を満たせば、年末のローン残高に応じて一定の所得税が一定期間安くなる制度のことです。

たとえば、令和元年(2019年)に住宅等を取得等した場合には、住宅ローン残高の1%が、2028年までの10年間にわたって控除されます。(13年間控除される場合もあります)

住宅ローン控除の適用条件は、主に次の通りです。(全てを満たす必要があります)
1 住宅を取得してから6カ月以内に入居し、適用を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること
2 住宅借入金控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下
3 住宅ローン控除の返済期間が10年以上
4 登記上の床面積が50平方メートル以上


住宅ローンの借り換えをした場合にも住宅ローン控除を受けられるのか

住宅ローン等の借換えによる新しい住宅ローン等は、従前の住宅ローンを消滅させるための新たな借入金であり、本来は、住宅ローン控除の対象とはなりません。

しかし、一定の要件を満たす住宅ローンの借り換えについては、借り換え後の住宅ローンについて、引き続き住宅ローン控除を受けることができます。

借り換え後も住宅ローン控除を受けられる一定要件とは

借り換え後の住宅ローンについても、住宅ローン控除の適用を受けることができる一定の要件とは、次の全ての要件を満たす場合をいいます。
1 新しい住宅ローン等が今までの住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること
2 新しい住宅ローン等の返済期間(償還期間)が10年以上であることなど住宅ローン控除の対象となる要件に当てはまること
したがって、たとえば、住宅の取得等の際に償還期間が10年未満の借入金(いわゆるつなぎ融資)を受け、その後に償還期間が10年以上となる住宅ローン等に借り換えた場合にも、住宅ローン控除の適用を受けられる可能性があります。

借り換え後の返済期間に要注意

逆に、借り換え後の住宅ローンの返済期間(償還期間)が10年未満だと、住宅ローン控除の適用を受けることはできなくなります。
借り換え後の住宅ローンの返済期間は、要注意です。


住宅ローンの借り換えをしたの住宅ローン控除の手続き

借り換え後の住宅ローンについて、住宅ローン控除の適用を受けることができる場合には、従来と同じ手続きにより、住宅ローン控除の適用を受けることができます。

年末調整を受けるサラリーマン

年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることができます。
勤務先に、次の2つの書類を提出してください。
・税務署から送付されてきた「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」
・金融機関から送付された「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」


それ以外の方

確定申告が必要です。
税務書に提出する確定申告書に、記入した「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を添付します。



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住宅ローン控除|住宅ローンの借り換えをした場合の控除額の計算

住宅ローン等の借換えによる新たな住宅ローン等の残高が、すべて住宅ローン控除の対象となるとは限りません。
借換えをした場合には、次の金額が控除対象の計算で必要な住宅ローン等の年末残高となります。

新たな住宅ローン残高が当初の住宅ローン借入額以下の場合

借換えによる新たな住宅ローン等の借入額が、借換え直前の住宅ローン等の残高以下である場合には、住宅ローン控除額の計算で使用する住宅ローン等の年末残高は、借換えによる新たな住宅ローン等の年末残高になります。

したがって、この場合の住宅ローン控除額の計算は、簡単です。
区分
住宅ローン控除計算対象
借換え直前住宅ローン残高 
> 新住宅ローン借入額
新住宅ローンの年末残高
たとえば、借り換え直前の住宅ローン残高が2000万円で、借り換え後の住宅ローンの借入額が1900万円、年末残高が1800万円の場合、住宅借入金控除は、1800万円を基礎にして計算します。



新たな住宅ローン残高が当初の住宅ローン借入額より多い場合

一方、借換えによる新たな住宅ローン等の借入額が、当初の住宅ローン等の残高を超える場合には、住宅ローン控除額の計算で使用する住宅ローン等の年末残高は、次のようになります。

・「借換えによる新たな住宅ローン等の年末残高」×「借換え直前における当初の住宅ローン等の残高」÷「借換えによる新たな住宅ローン等の借入時の金額」

つまり、残高が増えた分については、住宅借入金公控除の対象にしない、ということです。

区分
 住宅ローン控除計算対象 
借換え直前
住宅ローン残高
< 新住宅ローン借入額
        借換え直前住宅ローン残高  
新住宅ローンの × -------------
年末残高      新住宅ローン借換え額


たとえば、借り換え直前の住宅ローン残高が2100万円で、借り換え後の住宅ローンの借入額が2200万円、年末残高が2000万円の場合、住宅ローン控除は、次の金額を基礎にして計算します。

・新住宅ローンの年末残高2000万円×借換え直前における当初の住宅ローン等の残高2100万円÷新住宅ローン等の借入金額2200万円=1909万円

計算が少し複雑ですね。

借り換えした場合の住宅ローン控除額の端数

借換えによる新たな住宅ローン等の借入額が、当初の住宅ローン等の残高を超える場合には、上記のような計算をしますが、計算途中で端数が発生します。
その端数は、どのように計算すればいいのでしょうか。

端数処理については、規定がないようです。
そんなときは、納税者有利にするのが基本です。

住宅ローン控除額の計算では、年末残高が多くなれば控除額が多くなりますので、円未満の端数を切り上げてください。

ただ、住宅ローン控除額は、100円未満切捨てになりますから、年末残高の端数を同処理しても計算結果は、まず同じになるでしょう。


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まとめ


住宅ローンの借り換えをした場合の住宅借入金控除(住宅ローン控除)について説明しました。

借り換えの状況によっては、住宅ローン控除額の計算が複雑になります。
単純に新しいローンの年末残高が控除額の計算の基礎にならない場合もあります。

今回の記事を参考に、間違いのないように、正しく継続して住宅ローン控除の適用を受けてください。



【投稿者:税理士 米津晋次

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※お断り

※記事の内容は、投稿日現在の税法等の規定によっております。税制改正等により最新情報でない場合もありますので、ご了承ください。

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