先日も新聞で地価がどうなったとの報道がありました。
じつは、公表される地価にも4種類があります。基準地価、公示価格、路線価2種類です。
これだけ地価があると、混乱してしまいます。
そこで今回は、そのうち公示価格について説明します。
公表地価は4つ|(2)公示価格とは
公示価格には、別名がある
公示価格と同じように使われる言葉として、「公示地価」や「地価公示」、「地価公示価格」があります。「公示」という単語で、国が公示している地価だということを表しています。
公示価格は、国が決め都道府県が発表する
公示価格は、地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を公示するものです。調査地点は、全国で約2.3万地点に及びます。
2人の不動産鑑定士が鑑定評価を行い、その結果を土地鑑定委員会が審査・調整して、最終的な正常価格として公示されています。
公示地価は、標準地を1㎡あたりの価格で表し、その性質は、特別な事情がない場合の適正な取引価格と見込まれる価格です。
したがって、水準となる価格となっても、最高値や最安値を示す価格ではありません。
なお、建物が建っている場合でも更地の価格を推定しています。
公示価格は、「標準地・基準地検索システム」で参照できる、調べ方
公示価格は、国土交通省の「標準地・基準地検索システム」簡単にで調べることができます。「標準地・基準地検索システム」のトップページからまず都道府県を選びます。
次に地域を選ぶと、検索条件を設定する画面に移行します。「対象」で「地価公示」を選び、その他の検索条件を調べたい土地に応じて設定します。
すると、その土地の価格や地積だけでなく、その土地がどのように利用されているか、前面道路、最寄りの公共交通、土地の形状、ライフライン等の情報も載っています。
この「標準地・基準地検索システム」で、所有者情報以外のほとんど必要な情報を得ることができるでしょう。
さらに、不動産鑑定士2人による鑑定評価書も閲覧できます。
→ 標準地・基準地検索システム(国土交通省)
公表地価は4つ|(2)公示価格の目的
公示価格の主な目的は次のものです。公示価格は、国土法に基づく土地取引規制の土地価格算定の基準になっている
国土利用計画法においては、土地の投機的取引や地価の高騰による弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため、(1)事後届出制、(2)注視区域及び監視区域における事前届出制、(3)規制区域における許可制を設けています。公示価格は、この国土法による土地取引規制における土地価格算定の基準となることにより適正な地価の形成に寄与しています。
公示価格は地方公共団体が土地を買収する際の基準になる
公示価格は、地方公共団体が、道路の拡張に伴う後退や移転などのために用地取得をする際に、その用地取得予算の概算見積もりや、地権者に補償額を提示する段階での土地価格の根拠として公示地価が使われます。公示価格は一般の土地取引の目安になる
公示価格は、一般に公表されている地価ですので、誰でも利用できます。もちろん、公示地価の使用目的に制限はありません。個人が土地の価格を知りたいときに、目安として使うこともできます。
客観的な指標として公示地価の価値が高く信頼性も高いので、不動産会社が、土地の販売価格を提示するのに、公示価格に周辺の環境と取引事例など加味してその価格を決定するのにも使えます。
公示価格は基準地価の補完的役割も
公示価格の基準日は1月1日で、基準地価は7月1日が基準日です。そのため、地価の速報値として基準地価の補完という役割もあります。公表地価は4つ|(2)公示価格と基準地価との違い
公示価格とよく間違えるのが基準地価です。公示価格と基準地価との違いについてまとめてみました。
公示価格の価格時点(基準日)は1月1日
公示価格の価格時点(基準日)が1月1日であるのに対し、基準地価の価格時点は、7月1日で、半年異なっています。公示価格の発表日は3月20日ごろ
公示地価の発表は、毎年3月20日ごろとなっています。それに対し、基準地価は、毎年9月20日ごろに発表されます。
公示価格の根拠となる法律は、地価公示法
根拠となる法律が、公示価格は「地価公示法」であるのに対し、基準地価は「国土利用計画法施行令」となっています。公示価格の調査の主体は国
公示価格の調査の主体が国(国土交通省)であるのに対し、基準地価の調査主体は都道府県です。公示価格は対象地域に工業地、林地などを含まない
公示価格は、都市計画区域内外の住宅地、商業地になっています。それに対し、基準地価の対象地域は、都市計画区域内外の住宅地、商業地のほか、工業地、林地なども含みます。
そのため、平均的な地価動向にも違いが生じることに注意しなければなりません。
公示価格を評価する不動産鑑定士は2人以上
公示価格においては、土地を評価する不動産鑑定士は、2人以上となっています。それに対し、基準地価においては、土地を評価する不動産鑑定士は1人以上になっています。
まとめ
4種類ある公表される地価のうち、今回は、公示価格について説明しました。今回はどの地価が発表されたのか、そしてそれはどのようなものかをしっかり理解していただきたき、その地価を有効に活用していただきたいと思います。
・公表地価は4つ|(1)基準地価とは、目的、発表日、公示価格との違い
・公表地価は4つ|(3)路線価(相続税)とは、目的、発表日、固定資産税路線価との違い
・公表地価は4つ|(4)路線価(固定資産税)とは、目的、発表日、相続税路線価との違い
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