健康のために良くない食品にかかる税金は、通称「ジャンクフード税」とも呼ばれ、近年さまざまな形で世界各地にて導入が検討されてきています。
脂質や塩分の高い食糧摂取を抑制することによって、急速に増加している生活習慣病を予防することが目的です。
そこで今回は、「ジャンクフード税」の導入例をご紹介しましょう。
目次
飲食物の税金|ソーダ税
砂糖入り飲料の摂取は、糖尿病や心臓病、虫歯や肥満のリスクを増大させ、健康に及ぼす影響が大きいとして、WHO世界保険機関)は、2016年10月11日に、通称「ソーダ税」を導入するように加盟国に呼びかけました。
「ソーダ税」導入により、その分商品価格が上がることによって、消費量を抑え、健康への悪影響を減らそうという目的です。
フランスのソーダ税
2012年よりフランスでは「ソーダ税」が導入されました。
WHO(世界保健機関)による統計で、1997年から2009年の間にフランス人の体重は平均して3kg上昇したことなどが理由になったようです。
糖分を多く含む炭酸飲料1缶につき約1円を課しているそうです。
メキシコのソーダ税
2014年にメキシコで「ソーダ税」が導入されました。
安全な水の供給に問題があるメキシコでは、多くの人が水の代わりにソーダなどの糖入り飲料を飲んでいて、飲料だけで平均一人50gの糖分を摂ってしまっていたそうです。
成人の70%以上が太りすぎで、32%が肥満、子どもの3人に1人が太り過ぎというメキシコでは、「ソーダ税」によって肥満を減らすことを狙ったのです。
ノースカロライナ大学とメキシコの公衆衛生当局が共同で行った研究によると、2014年の「ソーダ税」導入後、ソーダの売上高は平均6%減少したそうです。
さらに同年12月には、前年比12%減となり、一定の効果が出ているようです。
アメリカのソーダ税
アメリカのカリフォルニア州バークレーでは、2015年3月に、清涼飲料1オンス(約28.5ml)当たり1セント(約1円)の「ソーダ税」が課されることになりました。
8月23日に発表された研究報告によると、このソーダ税制度により、低所得世帯による清涼飲料の消費量が21%減少したそうです。
ペンシルベニア州フィラデルフィアでは、今年6月に1オンス当たり0.5セントのソーダ税導入案を可決し、アメリカ2番めのソーダ税が2017年からスタートします。
飲食物の税金|ポテトチップス税
ソーダ税よりも課税する対象を広くとっているのは、通称「ホテトチップス税」(ポテチ税)です。
ポテトチップス税は、国民の肥満防止を目的に、スナック菓子や清涼飲料水など塩分や糖分が特に高い食品に課税されたものです。
ハンガリーのポテトチップス税
ハンガリーでは、2011年9月に「ポテトチップス税」を導入しました。
ハンガリーのポテトチップス税では、ポテトチップス1キロ当たり約80円、包装されたケーキ類は1キロ当たり約40円、清涼飲料水は1リットル当たり約2円がが課税されました。
飲食物の税金|脂肪税
飽和脂肪酸を含む食品を対象とした「脂肪税」が、国民の健康増進のために導入されています。
デンマークで導入された脂肪税
デンマークでは、2011年12月、飽和脂肪酸を含む食品を対象とした「脂肪税」導入されました。
WHOが2008年に発表した統計によると、ハンガリー国民男性の26.2%、女性は20.4%が肥満とかなり深刻だったことによります。
しかし、どうしてもこうした食べ物が好きな人は、近隣諸国に買い出しに行くなどして、あまり効果もなく、廃止になったそうです。
飲食物の税金|砂糖税
ポルトガルが砂糖税導入へ
ポルトガルは、2017年からソフトドリンクに対して「砂糖税」を導入する方針を明らかにしています。
今回ポルトガル政府が発表した計画によると、1リットル当たり80gを上回る糖が含まれる飲料は100リットルにつき約1900円、80グラム以下の場合は約940円が課税されます。
そうすると、標準サイズの330ml缶のコカ・コーラは、約6.3円課税されることになるそうです。
ただし、砂糖税が導入されるのはソフトドリンクのみで、糖分が多くても牛乳や果汁を主成分とする飲料は対象外となるそうです。
砂糖税がイギリスでも導入へ
英国でも糖分を多く含む飲料に2018年から砂糖税が導入されることになっています。
課税の対象となるのは、砂糖含有量が100mlあたり5gを超える飲料です。
8g以上の場合は、さらに高い税率を適用するそうです。
ただし、砂糖を添加していないフルーツジュースは対象外になる予定です。
まとめ
今回は、世界における「ジャンクフード税」の導入例をご紹介しました。
日本では「ジャンクフード税」はまだ導入されていませんが、WHOも推奨していますので、肥満が増えていけば、近い将来日本でも導入されるかもしれませんね。