6月に住民税の税額通知書が届いたり、勤務先から決定通知書を受け取ったと思います。
しかし、専業主婦や学生のように所得のない人や、生活保護を受けている人、前年の所得が一定金額以下の人などは、住民税が非課税となっている場合もあります。
そこで今回は、住民税の非課税についてご説明しましょう。(令和3年度は改正があります)
目次
住民税の非課税とは
住民税の非課税にも2種類ある
市町村民税と都道府県民税を合わせて「住民税」といいます。これらの住民税が課税されないことを住民税の非課税といいます。
住民税には、「均等割」と「所得割」の二つからなり、所得状況や世帯の経済状態によって課税が免除される場合があります。
ところで、この「均等割」と「所得割」は、別々の計算になっていて非課税が決定されます。
したがって、住民税非課税といっても、
■完全に住民税が非課税になる場合
と
■所得割では課税されないが、均等割によって課税対象となる場合
の2種類に大きく分かれます。
住民完全税非課税の条件
完全に住民税が非課税になる(所得割も均等割も非課税)条件は、・所得が低いこと
・家族に特別な事情があること
です。
つまり、次のような人のことです。
(1)生活保護法による生活扶助を受けている人
(2)障害者や未成年者、寡婦・寡夫(離婚や配偶者が死亡した人)で、前年中の合計所得金額が135万円(令和2年度までは125万円)以下の人
(3)前年中の合計所得金額が次の人、
・扶養親族がいない人:45万円(令和2年度までは35万円)以下
・扶養親族がいる人 :35万円×(扶養家族数+1)+31万円(令和2年度までは21万円)
となります。
※「扶養家族」とは、控除対象配偶者や扶養親族(年齢16歳未満の方を含む。)をいいます
※「合計所得金額」とは、所得の種類ごとに計算した所得金額の合計をいいます。
※その「所得金額」とは、事業や不動産賃貸であれば、「収入(売上)-必要経費、給与所得であれば、「収入-給与所得控除(最低55万円)」のことをいいます。
したがって、給与所得のみの方の場合、この条件に該当する給与収入を逆算すると、給与所得控除最低額55万円+45万円=100万円となります。
いいかえると、給与所得のみの方の場合、給与収入が100万円以下であれば、この合計所得金額条件に該当することになります。
所得割だけが非課税になる条件
生活保護や障害者等でない人で、前年中の合計所得金額が次の人です。・扶養親族がいない人:45万円以下(令和2年度までは35万円)
・扶養親族がいる人 :35万円×(控除対象配偶者+扶養親族数+1)+31万円(令和2年度までは21万円)
住民税の非課税世帯とメリット
住民税の非課税世帯とは?
均等割も所得割も、世帯として納税義務を免除されるのが「住民税非課税世帯」です。1つの世帯に何人かいる場合は、それぞれに住民税がかかってくるので、その全員が住民税非課税となっている状態です。
住民税の非課税世帯のメリット
住民税非課税世帯になると、次のような恩恵に預かることができます。・国民健康保険料が減額される。
減免制度を利用すれば、所得に応じて国民健康保険料が半分から70%も免除されます。
・高額医療費の負担が軽減される。
個人負担上限額が一般世帯で8万円のところ、高額医療費において35,400円まで負担が軽減されます。
・その他のメリット
地方公共団体によっては、保育料の減額、定期健康診断や予防接種、がん検診の費用の割引、入院中にかかる食事の自己負担額の減額、介護保険サービス料の割引などが適用される場合もあります。
詳細は、お住まいの市町村役場へご確認ください。
なお、非課税世帯に障害者がいる場合は、NHKの受信料も免除されます。
住民税の非課税証明書はどこでもらう?
住民税の非課税証明書
たとえば、保育所に入所する際に、保育料を安くするには、市町村から「住民税非課税証明書」の提出を求められます。住民税の非課税証明書はどこでもらう?
住民税が課税されていない証明を「住民税非課税証明書」といいます。正確に言えば、「住民税非課税証明書」という名前の書類がない市町村が多く、課税の人と共通で「住民税証明書」や「住民税所得証明書」などの名前になっています。
「住民税非課税証明書」は、市役所や町村役場の税務課などで発行してもらえます。
税務署で発行してもらえるのは、「所得税の非課税証明書」です。
どちらの税金の非課税証明書の提出が必要なのかを確認しましょう。
発行手数料は、1通300円程度です。
6月1日ぐらいから、前年の証明の発行が可能になります。
なお、発行を申請できるのは、次の人に限られています。
・本人(相続人、納税管理人などを含みます。)
・配偶者および同居の親族で、本人から依頼があったと認められる方
・本人の委任状または承諾書を持参した方
住民税の非課税証明書の取得には何が必要?
住民税非課税証明書を発行してもらうには、次の書類等が必要になります。本人、同居親族が申請する場合は、その人の身分証明書(運転免許証・健康保険証等)と印鑑が必要です。
代理人が申請する場合は、代理人の身分証明書(運転免許証・健康保険証等)、印鑑と委任状が必要になります。
郵送による証明書の発行もお願いできる
市役所等まで遠い方など、窓口に行けない場合は、郵送での請求も受け付けている市町村が多いです。送付するものは、概ね次のものです。
・証明の申請書(市町村役場のサイトからダウンロードできる場合が多いです。)
・申請者の本人確認書類の写し
・手数料分の定額小為替
・返信用封筒
申請方法の詳細は、お住まいの市町村役場のホームページで確認してください。
まとめ
住民税が非課税になる条件や、証明書のもらい方はご理解できましたでしょうか。住民税は所得税と違って、役所が税額計算をして通知をしてくるのですが、
住民税が非課税になるかは、所得状況と世帯構成員の特別な事情を合わせた計算によって決定されるのです。
住民税非課税に該当すればいい、ということではありませんが、その状況になっていれば、受けられる行政サービスを受けましょう。
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