先日終了したリオデジャネイロオリンピックでは、日本選手はがんばり、過去最多のメダル数を獲得しました。
すばらしいですね。
メダルを獲得した選手には、多額の報奨金が支給されますが、
その金額が気になるところですし、その税金も気になります。
そこで今回は、オリンピックメダリストの報奨金の額とその税金がどうなるかについて説明いたします。
金メダル等の報奨金
JOCからのメダル獲得報奨金
リオデジャネイロオリンピックでメダルと獲得すると、
日本オリンピック委員会(JOC)から、
・金メダル:500万円
・銀メダル:200万円
・銅メダル:100万円
のメダル獲得報奨金がもらえました。
もちろん、団体競技の場合には、一人一人に対して上記の報奨金が支給されることになっていました。
金メダルの報奨金は、前回2012年のロンドンオリンピックの300万円から200万円増額になっています。
(銀メダルと銅メダルは前回と同じ)
一人で複数のメダルを獲得した選手は、それだけもらえる報奨金が増えました。
体操の内村選手は、金メダル2枚ですから、
・500万円書×2枚=1000万円、
水泳の萩野選手は、金メダル・銀メダル・銅メダル各1枚ずつ獲得されましたから、
・金500万円+銀200万円+銅100万円=800万円
を獲得されました。
JOC報奨金以外の報奨金・賞金
オリンピックのメダリストには、JOCからのメダル獲得報奨金とは別に、
さらに、競技団体や所属・協賛企業が独自に報奨金を設定してます。
この報奨金は、その競技によって全く違います。
競技によって驚くほどの格差になっています。
リオデジャネイロオリンピックの競技別JOC報奨金以外の報奨金・賞金
報奨金・賞金の多い競技をいくつかご紹介しましょう
自転車
自転車競技は、日本競輪選手会から報奨金が支給されることになっていました。
・金メダル:3,000万円
・銀メダル:2,000万円
・銅メダル:1,000万円
競輪
競輪の場合は、公共財団法人JKAより次の報奨金が支払われることになっていました。
・金メダル:5,000万円
・銀メダル:3,000万円
・銅メダル:2,000万円
水泳
水泳競技は、日本水泳連盟からと、オフィシャルパートナーのGMOクリック証券から報奨金が出ることになっていました。
日本水泳連盟から支給されることになっていた報酬は
・金メダル:200万円
・銀メダル:100万円
・銅メダル:50万円
GMOクリック証券から支給されることになっていた報奨金は、
・金メダル:3,000万円
・銀メダル:300万円
・銅メダル:100万円
合計すると
・金メダル:200万円+3,000万円=3,200万円
・銀メダル:100万円+300万円=400万円
・銅メダル:50万円+100万円=150万円
になります。
陸上競技
陸上は、日本陸上競技連盟から支給されることになっていました。
・金メダル:1,000万円
・銀メダル:600万円
・銅メダル:400万円
バトミントン
バトミントンは、日本バドミントン協会から次の報奨金が支給されることになっていました。
・金メダル:1,000万円
・銀メダル:500万円
・銅メダル:300万円
卓球
卓球は、日本卓球協会から支給されることになっていたメダル報奨金は、シングルスの場合とダブルスの場合と異なっていました。
(シングルスの場合)
・金メダル:1,000万円
・銀メダル:400万円
・銅メダル:200万円
(団体の場合)
・金メダル:400万円
・銀メダル:100万円
・銅メダル:40万円
ここまでの競技は、金メダルになると1000万円以上の報奨金がもらえました。
テニス
テニスの場合は、日本テニス協会から支給されることになっていました。こちらもシングルスとダブルスでは異なりました。
(シングルスの場合)
・金メダル:800万円
・銀メダル:400万円
・銅メダル:200万円
※ダブルスの場合は半額(2人で分割)
レスリング
レスリング競技の報奨金は、日本レスリング協会からの支給で、決して多くはありません。
しかし、オリンピック4連覇達成の特別報奨金が用意されていました。
・金メダル:300万円
・銀メダル:200万円
・銅メダル:100万円
※オリンピック4連覇の場合には報奨金1,000万円超(吉田沙保里選手、伊調馨選手)
メダル報奨金の少ない競技は、次のものです。
体操
体操のメダル報奨金は、日本体操協会から支給されることになっていました。
・金メダル:50万円
・銀メダル:30万円
・銅メダル:20万円
ほかの競技より0が一つ少ないですね。
柔道
かわいそうなのは、柔道です。
JOCのメダル獲得報奨金以外にはありません。0円です。
格差
報奨金が最も多い競輪競技では金メダル獲得者はありませんでした。
次に多い水泳競技では、金メダル獲得者がでました。
・JOC報奨金500万円+JOC以外の報奨金3,200万円=3,700万円
柔道競技の金メダリストは、JOCからの500万円ですから、
同じ金メダリストでも、競技によって3,200万円の差が出ました。
金メダル等の報奨金に対する税金
このような選手に対する報奨金や賞金には税金がかかるのでしょうか?
通常競技の報奨金には税金がかかる
普通の競技で選手が報奨金を得た場合は、「一時所得」として所得税・住民税の課税対象になります。
生命保険の満期受取金と同じ所得区分です。
「一時所得の金額」は、次の算式により算出されます。
・一時所得金額=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)
このように、「一時所得」は、継続的な所得ではないことを考慮して、年50万円の非課税枠が設けられています。
さらに、「一時所得金額」が年50万円を超えた場合でも、その1/2だけが課税対象になります。
JOCメダル報奨金は非課税
一方、オリンピックでJOCから支給されるメダル獲得報奨金は、所得税法では1944年(平成6年)の改正から特別に「非課税」となりました。
なぜ非課税となったかというと、次のようなことがあったからです。
1992年(平成4年)のバルセロナオリンピックで、当時中学生だった岩崎恭子選手が金メダルを獲得しましたが、
その報奨金に課税されたことに対して、「かわいそう過ぎる」という世間の声が強かったからのようです。
JOC加盟競技団体からのメダル報奨金も非課税
加えて、2010年(平成22年)の税制改正によって「JOCに加盟している競技団体からの報奨金」も非課税対象になりました。
JOC・JOC加盟競技団体以外からのメダル報奨金は課税される
JOCに加盟していない競技団体や民間企業のスポンサーから支払われる保証金・賞金については非課税とならず、所得税・住民税がかかります。
ただし、これらは「一時所得」に該当しますので、上記で説明したようにさらに非課税枠50万円があります。
しかも非課税枠50万円を超えても、課税されるのは、その超えた金額の1/2のみ。優遇されています。
例外的に、社員として所属する企業から報奨金が支給された場合には、一時所得ではなく、給与所得の対象となりますので、税金が少し重くなります。
まとめ
オリンピックメダリストが支給をうけた報奨金とそれに対する税金について説明してきました。
報奨金は、一般人からみればとても多額なように思います。
しかし、遠征費や一流コーチ料は自己負担となり、上を目指せば目指すほどお金が必要になります。
それを考えれば、むしろ少ないと言わざるを得ないのではないでしょうか。
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