タワーマンション節税|相続税対策スキームと失敗例、税制改正へ

タワーマンション

相続税の節税のために、タワーマンションの高層階を購入して賃貸する「タワマン節税」が脚光を浴びています。

しかし、タワーマンション節税もうまくいくとは限りません。

そこで今回は、このタワーマンション節税のスキームや失敗例などを説明しましょう。

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タワーマンション節税|相続税対策スキーム

タワーマンション等では、高層階になるほど価格が高い

大都市圏で増える「タワーマンション」と呼ばれる超高層マンション。

タワーマンションは、高層階に行くほど眺望がよく価格が高くなります。

同じ床面積でも、高層階は低層階の数倍になることもあるそうです。

同じマンションでは1階も最上階も評価額は同じ

タワーマンションのような高層マンションでは、土地についても、建物についてもどの階でも、どんな日当たりでも、角部屋でも面積あたりの相続税評価額は同じです。

最上階角部屋の1億円の部屋(70㎡)も、低層階の北向きの3,000万円の部屋(70㎡)も、広さが同じであれば同じ評価額となります。

マンション1棟分の評価額を各戸の所有者がそれぞれの床面積で均等に分割しているためです。

高層階を購入すると、評価額を減らせる

タワーマンションなどの高層マンションでは、高層階になるほど価格が高く、どの階でも相続税評価額は同じということは、高層階になるほど、時価と評価額の間に差が開くことになります。

国税庁が、2011年から2013年の確定申告のデータを基に、全国343件の20階建て以上の高層マンションの実売価格と相続税評価額と比較したところ、平均で約3倍、最大で約7倍の格差があったそうです。

相続税の評価額は、土地は時価の80%、建物は時価の40~60%くらいですが、タワーマンションなどの高層マンションになればなるほど土地の割合が少なくなり建物の割合が大きいため、それだけ相続税の評価額が下がることになります。

現金で1億円をもっていれば、相続税では1億円で評価され相続税がかかります。

しかし、タワーマンショの高層階を1億円で購入すれば、たとえば評価額が3000万円と低くなり、その結果相続税が安くなる、というスキームなのです。

この例では、課税財産価格が7000万円減りますので、富裕層で相続税の最高税率55%が適用される人の場合、これだけで相続税が4000万円近く(7000万円×55%=3850万円)安くなることになります。

相続税額を計算する際の不動産の財産評価が現金を下回るため、不動産を購入する相続税対策は従来より実施されてきましたが、このようにタワーマンションを購入すれは、さらに相続税の節税効果が高いとして、富裕層に広がってきました。

タワーマンション評価
出典:JIJI.COM

高層階を購入するして賃貸することでさらに評価額を減らす

タワーマンション節税のスキームは、これだけではありません。

購入した高層マンションを賃貸すると、土地は「貸家建付地」、建物は「貸家」となって、相続税評価額は、借地権割合と借家権割合に応じてさらに下がるのです。

「小規模宅地等の特例」の条件も満たせば、土地の評価については、ここからさらに50%減額できる場合もあります。

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タワーマンション節税|相続税対策失敗例

国税庁は行き過ぎた節税についてはチェックするように全国の国税局に指示

相続税を算定するための財産評価の方法は、「財産評価基本通達」に記されています。

その第一章「総則」の六には

「この通達の定めによつて評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」

との記載があります。

いくら通達どおり適法に評価しても、それが租税回避行為として著しく不適当であれば、国税庁長官の指示で妥当な評価をすることがあり得るという規定です。

2015年11月初旬には、いわゆる「タワーマンション節税」について、国税庁が“行き過ぎた節税策”が行われていないかを厳しくチェックするよう、全国の国税局に指示を出しています。

死亡1ヵ月前のタワーマンション購入例

入院していた父親が、亡くなる1ヵ月前に親族が代理人となり、タワーマンションの30階の一室を約3億円で購入しました。

このタワーマンションを相続した親族は、通達に従い約6000万円と評価して相続税を申告し、相続の4ヵ月後には、購入額とほぼ同額で売却しました。

kのタワーマンション節税を実行した相続について、2010年に東京国税局がこの親族に対し租税回避行為があったということで相続税の追徴課税をしました。

納得がいかないこの親族は、国税不服審判所に取り消しを求めましたが、国税不服審判所は「税負担を避けるため、判断能力のない父親の名義を無断で使って契約した」と指摘し、相続前後の短期間だけ所有したマンションを通達どおりに評価するのは不公平としました。

タワーマンション節税が認められる安全ラインは?

具体的にどのようなタワーマンション節税が「租税回避行為」に該当するのかは、残念ながら、明確な基準は存在しません。

都市伝説的に目安になるとされているのが、「相続発生の3年以内に購入した物件」です。

3年以内に取得した不動産については、通達による相続税評価額ではなく、取引額を基準として評価をすることになっていたことを類推解釈したものです。

ただし、取得が相続の3年以上前である物件であれば大丈夫、という根拠はありません。

タワーマンション購入後何年経過していようと、相続してすぐに売却するようなことがあれば、どんな理由があっても目をつけられることでしょう。

タワーマンション節税|税制改正決定

2015年10月の記者発表で租税回避行為を厳しくチェックするとした

先ほども紹介しましたが、国税庁は2015年(平成27年)10月29日の記者発表で、次の見解を示しました。

「当庁としては、実質的な租税負担の公平の観点から看過しがたい事態がある場合には、これまでも財産評価基本通達6項を活用してきたところですが、今後も、適正な課税の観点から財産評価基本通達6項の運用を行いたいと考えております。」

タワーマンションの高層階について相続税評価額上げへ税制改正が決定

◆2017年1月2日以後完成のタワーマンションから改正(原則)

2016年1月24日付の日本経済新聞朝刊によると、総務省と国税庁は、価格の割に相続税が安くて済む高層マンションを節税目的で購入する動きに歯止めをかける税制改正の検討に入りました。

そして、平成29年度税制改正によって、タワーマンションの固定資産税の評価額計算方法が見直されました。

このタワーマンションの固定資産税の評価額計算方法改正は、2018年(平成30年)1月1日時点で新たに課税対象となるタワーマンションから適用されます。

つまり、原則として2017年(平成29年)1月2日以後に新たに完成したタワーマンションは、改正後の計算方法で固定資産税額を算出することになるのです。

◆2017年4月1日前に売買契約締結のものは改正適用除外(特例)

ただし、2017年(平成29年)1月2日以後に完成したタワーマンションであっても、2017年(平成29年)4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものについては除外されます。

たとえば、2017年(平成29年)1月2日に完成したタワーマンションの場合
(1)1戸だけでも売買契約が2017年3月中に締結された場合

  ・そのタワーマンションの固定資産税額は、従来どおり専有床面積で按分する方法で算出されます。

(2)すべての住戸の売買契約の締結が、2017年(平成29年)4月1日以降の場合

  ・そのタワーマンションの固定資産税額は、改正後の新たな方法で算出されます。

なお、このような税制改正対象外となるタワーマンションの確認は、何らかの証明資料を提出するのではなく、課税庁において確認します。

高層階になればなるほど相続税評価額が高くなるように

◆税制改正対象となるタワーマンションとは?

今回の改正の対象となるタワーマンションの定義は、建築基準法上の「超高層建築物」である高さ60メートル超の建築物のうち、複数の階に住戸が所在しているものと定義されました。

◆税制改正によって、タワーマンションの固定資産税額はこう変わる

タワーマンション各住戸における固定資産税額については、従来はまず一棟全体を評価して、その全体の固定資産税額を各区分所有者の専有床面積により按分していました。

税制改正が施行される2018年(平成30年)4月1日からは、原則として、実際の取引価格の傾向により按分することとなります。

具体的には,階層別専有床面積補正率で補正した各住戸の専有部分の床面積が全体の専有床面積に占める割合で一棟の固定資産税額を按分します。

仮に同じ床面積であっても、高層階の固定資産税額は上がり、一方、低層階の固定資産税額は下がることとなります。

◆区分所有者全員の協議による補正も認められる

まとめ

今回は、このタワーマンション節税のスキームや失敗例などを説明しました。

タワーマンション節税をすすめる書籍が販売されていますし、不動産業者は今だにタワーマンション節税が有効と購入をすすめてきます。

タワーマンション節税に限らず、誰が見てもそれは租税回避行為だと思われるものは非常に危険です。

もし、実行するとしても、税理士に相談しながらすすめましょう。

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