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不動産所得を所有者以外のものとして申告できるか?

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不動産から生じる所得は、当然不動産所有者のもので、そのように申告すべきです。
ところが、家族間において良くある話で、不動産所有者以外の人の所得として申告をしたいという方もいるようです。
それは、税務署に通じるのでしょうか。

そこで今回は、不動産から生じる所得は、誰のものとして申告すべきか説明しましょう。


税務の原則的ルール

不動産から生じる所得を誰のものとして申告すべきかは、次のようになっています。

実質所得者課税のルール

不動産所得は、資産の権利者である所有者が申告を行うのが基本的なルールとなっています。
当たり前といえば、当たりまえのことですね。

不動産が共有の場合

複数人が共有している不動産は、各人が持分割合に応じた申告をすることになります。
自分の持分が1/2なら、その不動産から生じる所得の1/2を自分のものとして申告すべきこととなります。

不動産から生じる所得の全部を、ある一人のものとして申告することはできません。

また、共有は区分所有とは異なりますので、マンションの1号室はAさんのもの、2号室はBさんのものというように部屋ごとに分けて申告することはできません。しばしば、共有であるのに部屋ごとに申告している方が見受けられますがこれは間違った申告です。


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不動産所有者とは?

不動産所有者を知る方法

土地、家、建物、マンション、アパートなどの不動産は、法務局に登記されています。
所有者とは、法務局の不動産登記簿にその所有者として登記されている者です。


法務局の不動産登記簿は、一般公開されていますので、誰でも手数料を支払えば所有者を知ることができます。

固定資産税は、登記情報に基づいて課税される

市町村が固定資産税を課税する場合、固定資産税通知書は法務局の不動産登記簿にもどづいて発送しています。


ただし、登記簿の最新情報が反映されていない場合もあるので、法務局の不動産登記簿で確認しましょう。

不動産が共有の場合の固定資産税は、それぞれ共有者に通知書を発送することはしません。
代表者に対してのみ固定資産税通知書を発送しているところが多いです。

共有の場合、固定資産税通知書の宛て名は「(代表者名)その他◯名」となっています。

相続登記がされていない場合

相続があっても、不動産登記の名義を変更しない場合も多いです。
それは、名義変更登記にはかなりの費用がかかり、名義変更登記をしなくても罰則がないからです。

名義変更にどれくらいの費用がかかるかというと、相続の場合に法務局に払う登録免許税は、不動産の価額の1,000分の4となっています。
1000万円の不動産なら1000万円×4/1000=4万円となります。

この名義変更手続きを専門家である司法書士に依頼すれば、さらに費用がかかります。


相続登記がされていない場合は、相続の際の遺産分割協議書で誰が相続したのかを確認します。


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所有者以外の所得として申告できる場合

所得税基本通達の規定

所得税基本通達によると、有料駐車場から生ずる所得については、自己の責任において他人の物を保管する場合には、不動産所得ではなく事業所得又は雑所得に該当するものとされています。

所得税基本通達27-2 いわゆる有料駐車場、有料自転車置場等の所得については、自己の責任において他人の物を保管する場合の所得は事業所得又は雑所得に該当し、そうでない場合の所得は不動産所得に該当する。


事業所得または雑所得になる場合

もう少しわかりやすく説明しましょう。

不動産所有者以外の人が、
・建物および設備等を設置し
・土地の賃貸料だけでなく管理・サービスなどを含め、経営している要素が大きい
場合には、その不動産から発生する所得は、所有者ではなく、駐車場業を営んでいる人の所得として申告するということです。

土地の使用料というよりは、管理されている設備を借りている、人的役務の提供に対する料金を支払っている、という考え方なのです。


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不動産所得の事例

賃貸マンション、アパート

夫が所有するアパート妻名義で賃貸し、家賃収入を妻の不動産所得として申告することはどうでしょうか。


この場合、このアパートから発生する不動産所得を妻の所得として申告することは認められません。

なぜなら、妻はこのアパートについて何の設備も所有していないからです。

しかし、夫が所有する土地の上に妻がマンションを建築し、妻名義で賃貸する分には、このアパートから発生する不動産所得については、妻の不動産所得として申告することになります。

駐車場

親が所有する土地を月極駐車場として利用する場合、駐車場の契約者を子にした場合には、駐車場収入は子に帰属することになるのでしょうか。


青色駐車場の場合

単に区画線を引いたり、砂利を敷いた程度のいわゆる「青空駐車場」については、その収益は土地の所有者に帰属します。
土地自体が収益を生み出す資産と考えるからです。

したがって、この事例の場合、親の所得として申告すべきです。

立体駐車場

子がこの親の土地に立体駐車場設備を設置し、子名義で賃貸している場合は、その不動産から発生する所得は、所有者の親ではなく、子の所得として申告します。



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所得税・住民税だけでなく贈与税の対象に

このように、不動産から生じる所得を誰の所得として申告するかは規定されています。
不動産所有者以外の者を形式的な契約者として賃貸して所得税の申告するようなことは認められません。

さらに、このような所得税・住民税の問題だけでなく、所得として申告すべき人以外の人がその不動産賃貸料を受け取っている場合には、贈与税の対象にもなります。

贈与税の1年あたりの非課税枠(基礎控除)は110万円ですので、それを超える金額については、贈与税が課税されます。


まとめ

今回は、不動産所得は誰の所得として申告すべきかを説明してきました。

申告すべき人以外の人が賃貸料を受け取っていると、所得税だけではなく、贈与税もかかる場合があります。

今回の記事を参考に、正しい申告を行ってください。


【投稿者:税理士 米津晋次

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※お断り

※記事の内容は、投稿日現在の税法等の規定によっております。税制改正等により最新情報でない場合もありますので、ご了承ください。

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