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医療費控除2023年|歯科の自由診療(自費診療、保険外)は対象になるのか?

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 歯の治療費では、健康保険がきかないものが多くあります。そのような治療費は、全額自己負担となりますので経済的な負担が重いです。

 治療費の負担を軽減する制度のひとつとして、医療費控除制度がありますが、保険外の自由診療(自費診療)については医療費控除の対象になるのかわかりにくいですね。

 そこで今回は、歯科の自由診療費が医療費控除の対象になるかどうかについて説明いたします。

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医療費控除|歯科の自由診療(自費診療、保険外)は対象になるのか

医療費控除の概要・いくらから

 医療費控除とは、1年間にかかった医療費から10万円(所得が200万円以下の場合、所得の5%)を差し引いた金額が課税所得から引かれることにより、所得税や住民税が安くなり、医療費の負担を軽減する制度です。

 つまり、医療費控除はいくらから適用になるかというと、多くの人の場合、年間の医療費が10万円を超える場合から、ということになります。

 実際に軽減又は還付される税額は、
医療費控除額×自分が適用されている最高税率
です。

 所得税は、累進課税になっていますが、単純に全体の税率がある金額を超えると20%から30%に上がるのではなく、5%の部分があり、10%の部分があり・・・というように、複数の税率部分があるのです。その中の最も高い税率を医療費合計額にかけると還付額になります。

医療費控除の還付額の具体例

 たとえば、所得税率10%の人が30万円の医療費がかかった場合の所得税の軽減・還付額は、
・(医療費30万円-10万円)×所得税率10%=2万円(復興特別所得税を除く)
となります。

 所得税だけでなく、住民税についても適用されます。
 住民税の税率は一律10%ですので、住民税でも2万円少なくなる効果があります。

医療費控除を受けるには確定申告が必要

 なお、医療費控除の適用を受けるには、税務署に対して所得税確定申告書の提出が必要となります。

 その際には、医療費の明細の提出をしなければなりません。
 なお、領収書の提出は不要となりました。(※領収書は5年間保管が必要です。)

歯科の自由診療(自費、保険外)は医療費控除の対象になるのか

 歯の治療については、保険のきかないいわゆる自由診療(自費診療、保険外)によるものや、高価な材料を使用する場合などがあります。
 これらの治療費は、がかなり高額になることがあります。

 単純に、健康保険が適用されるから医療費控除の対象になり、自由診療になるから医療費控除の対象にならないという訳ではありません。

 美容目的である場合や、一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なもの以外は、自由診療でも医療費控除の対象となります。


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医療費控除|歯科のセラミック治療を受けた場合は?

歯科のセラミック治療の種類

 歯科におけるセラミック治療の種類を説明します。
ハイブリッドセラミック 最近開発された歯科素材のひとつです。
セラミックは透明感があり、色が天然歯に近く、金属アレルギーの心配もありませんが、壊れやすいという最大の弱点があります。
このため、奥歯など大きな力が加わる部位には積極的には使用できませんでした。
このセラミックの弱点を克服した素材がハイブリッドセラミックです。
従来は、奥歯にできた虫歯には金属を詰めていましたが、このハイブリッドセラミックインレーを使うことにより、治療後も自然な歯の状態を維持することができるようになりました。
オール.セラミッククラウン オール.セラミッククラウンとは、審美性の高い素材であるセラミックで作った歯の被せ物、またそれを使った治療法のことをいいます。
歯を全体的に一回り小さく削り、上からセラミック製のクラウンを被せることで歯を美しく整えます。
金属を一切使用していないセラミックのみの被せ物ですので、光の透過性が高く、色調もきわめて自然に再現することができます。
前歯など目立ちやすい部分に最適なものです。
金属アレルギーの心配はなく、歯や歯茎が黒ずむこともありません。
メタルボンドセラミッククラウン メタルボンドセラミッククラウンは、通常の保険のきかない差し歯で使用されています。
色調、形態ともにすぐれています。
唾液の吸収による変色や口臭の心配もありません。
内側を強固な金属で補強しますのでブリッジなどに最適なものです。
ハイブリットセラミッククラウン ハイブリットセラミッククラウンは、セラミックとプラスチックの掛け合わせた素材で作製するものです。
色調、強度ともに保険のプラスチックに比べ優れています。
金属で補強する場合があります。

通常のセラミック治療は医療費控除の対象になる

 健康保険法で認められた保険診療の対象とならない自由診療であっても、歯科においてセラミックを歯の治療材料として使用することは一般的に行われています。

 そのため、セラミックを使った治療の対価は、原則医療費控除の対象になります。

 通常はありませんが、もし、1本100万円とかいうセラミックを使用した場合は、一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なものに該当し、医療費控除の対象にはなりません。

治療を受けるための交通費も医療費控除の対象となる

 治療のための通院費も医療費控除の対象になります。

 ただし、通院費として認められるのは、交通機関などを利用したときの人的役務の提供の対価です。
 自家用車で通院したときのガソリン代や駐車場代等は、医療費控除の対象になりません。タクシー代もダメです。

 なお、小さいお子様の通院など、付添が必要な場合は、付添人の交通費も通院費に含まれます。


 通院費は、領収書が出ないものが多いですから、通院した日、交通機関、金額を記録しておくようにしましょう。


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医療費控除|金歯を入れた場合

金歯も原則医療費控除の対象となる

 健康保険法で認められた保険診療の対象とならない自由診療であっても、歯科において義歯(入れ歯)やクラウン(被せ物)に金を歯の治療材料として使用することも一般的に行われています。

 したがって、金歯(ゴールドクラウン、ゴールドインレー)や金冠など、金を使った治療費も原則医療費控除の対象になります。
金歯

金歯でも美容目的やあまりに高額なものは医療費控除の対象とならない

 金歯などでも、治療目的でなく、美容目的で入れる場合で1本100万円以上するようなあまりに高額なものは、医療費控除の対象にはなりません。

 医療費控除は、あくまでも治療が目的の費用が対象だからです。


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医療費控除|歯科の検診、クリーニング、ホワイトニングは対象になるのか

歯科検診は医療費控除の対象になるのか

 健康診断等の費用は、疾病の治療を行うものではないので、原則として医療費控除の対象とはなりません。

 その意味で、歯科検診のみの場合も、医療費控除の対象になりません。


 ただし、歯科検診の結果、治療が必要になり、引き続きその歯科治療を行った場合には、その歯科検診費用は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができますので、歯科検診費用も医療費控除の対象になります。

歯科クリーニング費用は医療費控除の対象となるのか

歯科クリーニングとは

 歯科医院で行われるクリーニングには、以下のような種類があります。

歯石除去クリーニング
 歯のクリーニングは、歯石除去と呼ばれることが多いです。先が尖ったスケーラーと呼ばれる器具を使い、歯科医師や歯科衛生士が歯石を取り除いていきます。
 先を歯石部分に引っ掛け、力を入れて取り除く手動タイプと、振動で汚れを落とす超音波タイプがあります。

 1本の歯の歯石を取るのに時間がかかるため、何回かに分けて行うこともあります。

 虫歯や歯周病予防の目的に行うため、健康保険が適用されます。
 歯の表面に着色のある歯石がたくさん付いている場合は、これを除去するだけでキレイになりますが、もともとの歯が黄色みを帯びている場合は、それ以上白くすることができません。

PMTC
 PMTCとは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの略で、歯科医師や歯科衛生士がさまざまな機器とフッ素入り研磨剤を使って行う歯面清掃のことです。
 虫歯や歯周病の原因になる歯垢にニュータンス菌などが棲み付き、歯磨きなどでは落とすことができないほどしっかり定着したものを除去できるのが、PMTCなのです。

 PMTCでは、専用の器具から重炭酸ナトリウムを高速噴射して歯の表面の着色を除去し、フッ素配合ジェルと回転ブラシなどの器具を使って歯の研磨します。
 そして、仕上げにフッ素を塗布します。

 なお、PMTCでは歯石を取り除くことはできないので、通常のクリーニングで歯石除去を施してから行います。

歯科クリーニング費用は医療費控除の対象とはならない

 歯科のクリーニングは、虫歯や歯周病予防目的に行うものです。治療が目的ではありません。

 医療費控除は、治療費が対象になるものですので、歯科のクリーニング費用は医療費控除の対象にはなりません。

 なお、歯の色を白くするホワイトニングも治療が目的ではありませんので、クリーニング費用と同じく医療費控除の対象にはなりません。


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まとめ

 歯科で自由診療費となる費用(セラミック、金、歯科検診、クリーニング、ホワイトニング)について、医療費控除の対象になるかどうかを説明してきました。

 単純に、健康保険が適用されるから医療費控除の対象になり、自由診療になるから医療費控除の対象にならないという訳ではありません。

 それが医療費控除の対象となる治療費に該当するのか、医療費控除の対象とならない予防や美容が目的なのかで判断して、正しく医療費控除を行っていただきたいと思います。


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【投稿者:税理士 米津晋次





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