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社員旅行が税務上経費と認められる3つの条件

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最近は、社員旅行を行っている会社は減っているようです。

しかし、社員の親睦を図ったり、業績が良かった場合のご褒美的な意味で、社員旅行をしている会社はまだまだ多いです。

社員旅行なんだから、当然全額福利厚生費として経費で認められると思いますよね。


ところが、必ずしも全額福利厚生費として認められるとは限らないのです。

そこで今回は、社員旅行が福利厚生費として全額経費として認められるにはどうすればいいのかを説明しましょう。


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社員旅行を全額福利厚生費とできる通達での2つの条件


社員旅行費用のすべてを福利厚生費として経費として認める条件として、所得税基本通達では2つの条件の両方を満たすことが必要とされています。

社員旅行に要する期間が4泊5日以内であること


まずは、社員旅行の期間が問題になります。

社員旅行の期間が4泊5日以内であればOKです。


社員旅行の期間が、5泊6日以上のものについてはなぜ福利厚生費として認められないのでしょうか。

それは、5泊6日以上の社員旅行は、社会通念上の社員旅行の範囲を超えているということです。


ところで、社員旅行の目的地が海外の場合には、生き帰り飛行機の移動時間が多くかかります。

行くだけで1日、帰りも1日かかるという場合もあります。


その場合、飛行機での移動時間も含めて4泊5日以内とすると、近くの韓国や台湾でもスケジュール的にはタイトになります。

ハワイなんて4泊5日以内は無理ですね。グァムでもかなり厳しいでしょう。











でもそこは、配慮がされています。

現地での滞在が4泊5日以内であればOKです。往復の移動時間は4泊5日以内に含めなくていいのです。

6泊7日でも、往復各1日かかって、現地滞在が4泊5日になりますから、条件を満たすことになります。


社員旅行に従業員等の50%以上が参加したこと


2つめの条件は、社員旅行への社員さんの参加割合の条件です。

全従業員等の半数以上が社員旅行に参加してください、ということです。


社員が多い場合には、全従業員が一緒に社員旅行にいくことは困難です。

工場や支店ごと等で社員旅行に行くことも認められています。

ただし、その場合には、全従業員等の50%以上という判定ではなく、その各工場、支店等ごとに従業員等の50%以上参加しているかの判定になりますので、注意て必要です




通達上の文書に表示されていない条件


上記通達に示された2つの条件を満たしたとしても、実務ではまだ通達に表示されていないある条件をクリアすることも必要です。

それは、社員旅行会社負担が一人あたり概ね10万円以下であることです。

ただ、この概ね10万円以下というのは、税法・通達のどこにも書いてありません。

この10万円あたりが、一般的な豪華な旅行と思われる境界だとされています。

それは、裁判で争われた際に、裁判所が採用したある調査によると、社員旅行の会社負担額の平均額が8万円強だったそうです。

一人あたり10万円を超えれば、この平均額を大きく上回るものであるとされるのです。

実際に、私の事務所のお客様が行った社員旅行で、一人あたり10万円程度の場合でも、否認された経験はありません。

概ね一人あたり10万円を超える豪華な旅行は、日数でも4泊5日という上限があったように単純に福利厚生費処理は認められないからです。


もし、一人あたり10万円を超える旅行をした場合には、その10万円を超えた分は従業員から徴収して、会社負担を一人あたり10万円以下にすれば条件を満たします。

徴収するのに抵抗があれば、同額を特別手当として給与に加算すればいいのではないでしょうか。



条件を満たのに福利厚生費として認められない場合


上記3つが社員旅行が福利厚生費として認められる条件です。

ただし、この3つの条件をすべて満たしたとしても、福利厚生費処理が認められない場合があります。

参加者を限定した社員旅行


いくら結果的に全従業員の50%以上が参加したとしても、そもそも社員旅行の参加者を限定した場合には、福利厚生費とは認められません。

たとえば、役員のみが参加した場合や、成績優秀者のみが参加した場合です。

社員旅行は、全従業員が参加できるものであるべきだからです。


社員旅行不参加者に金銭を支給した場合


上記3つの条件をクリアしても福利厚生費として認められない場合がまだあります。

それは、社員旅行に参加しなかった従業員に、旅行代の替わりとして金銭を支給した場合です。

現金だけでなく、商品券やギフト券、クーポン券も対象です。







では、この場合、なぜ福利厚生費として認められないかというと、事実上、社員旅行へ参加するか、金銭等でもらうかの選択になってしまうからです。

それでは、本来全員参加すべき社員旅行にあたらないという考え方です。


社員旅行不参加者へ金銭等を支給すると、その金銭等を受け取った従業員についてはもちろん給与とされますが、社員旅行に参加した従業員も給与課税されることになります。

社員旅行自体が、福利厚生費処理が認められないこととなったからです。


従業員以外が社員旅行に参加した場合


社員旅行というのは、文字どおり従業員が参加するものです。

その社員旅行に、取引先等が参加し、その費用を会社が負担した場合は、その取引先等の旅行費用は福利厚生費として認められません。

なお、従業員の家族を参加させた場合、家族も従業員ではありませんから、福利厚生費処理が認められないのが原則です。


ただ、全従業員に家族も参加させていいですよ、と呼びかけをした場合には、参加した家族分の旅行費用も福利厚生費と認められると考えます。



社員旅行が福利厚生費として認められない場合はどうなるか


役員・従業員への給与とされる


それでは、社員旅行が福利厚生費と認められなかった場合には、そのような税務の扱いになるのでしょうか。

それは、給与とされるということです。

給与の科目で経理処理をします。











給与でも、福利厚生費でも経費に違いはないのでは?と思う方もいるでしょう。

しかし、次の点で異なります。

(1)給与とされると、源泉所得税を増額して徴収しなくてはならない。

(2)給与とされると、旅行費用の消費税を控除できない(消費税課税仕入にならない)。

(3)役員に対するものは、定期定額給与に該当しないため、経費にならない(損金不算入)。

会社側は経費にならないのに、役員個人側は追加で課税される(ダブル課税)になってしまいます。


なお、家族を社員旅行に連れて行った場合には、従業員の旅行費用は福利厚生費とされ、家族分の費用だけがその従業員の給与とされます。

社員以外が社員旅行に参加した場合


その社員旅行に、取引先等が参加し、その費用を会社が負担した場合は、その従業員以外の人の旅行費用は、「接待交際費」と扱われます。

「接待交際費」として扱われると、接待交際費の上限などの規定により、会社の経費に一部がならない(損金不算入)とされる可能性が出てきます。


まとめ


今回は、社員旅行が福利厚生費として経費(損金)に認められる条件について説明しました。


社員旅行の会社負担額を、福利厚生費として処理したい場合には、社員旅行の計画段階から、上記3つの条件にあてはまるかチェックをしてください。

チェック不足で、福利厚生費処理ができないこととならないようにしましょう。


【投稿者:税理士 米津晋次

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