税金、社会保険の知恵袋

現役税理士が、皆様の税金や社会保険(健康保険、年金、労働保険)に関するさまざまな疑問を解決し、さらにはお得情報をお知らせします。

災害により被害を受けた法人(会社)が受けることができる税金優遇制度

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平成30年(2018年)は、7月豪雨に台風21号、北海道地震、台風24号と大きな災害が連続起こっています。

被災された皆様には、謹んでお見舞い申し上げます。

今回は、被災からの復旧時に受けることができる税金の優遇制度のうち、法人が受けられる制度について説明しましょう。

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法人に対する被災時の主な税金優遇制度


災害に遭った法人(会社)を支援するために、税制でも次のような制度が用意されています。

手続きに期限があるものもありますので、ご注意ください。

国税共通の納付期限の延長制度や納税猶予制度


法人税を含む国税については、申告・納付期限の延長制度や納税猶予制度があります。

法人税の被災者に対する優遇制度


法人税では、災害にあった法人に対する優遇制度として、災害による損失金の繰越し制度や、過去に納付した法人税から災害による損失を還付する制度、災害損失特別勘定の繰入額の損金算入等があります。






国税共通の納付期限の延長制度や納税猶予制度


法人税を含む国税については、申告・納付期限の延長制度や納税猶予制度を受けることができます。

国税の申告・納付期限の延長


災害等の理由により、申告・納付などをその期限までにできないときは、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限を延長することができます。

この申告等の期限延長の申請は、期限が経過した後でも行うことができます。

したがって、慌てずに、被災の状況が落ち着いてから税務署に相談しましょう。

地域指定


災害による被害が広い地域に及ぶ場合は、国税庁長官が延長する地域と期日を定めて告示されます。
その告示の期日までに申告・納付などをすればOKです。

対象者指定


国税庁が運用するシステムが、期限間際に使用不能であるなどにより、システムを利用して申告・納付などをすることができない方が多数に上ると認められる場合は、国税庁長官が延長する対象者の範囲と期日を定めて告示されます。

その告示の期日までに申告・納付などをすればよいことになります。

近年では、東日本大震災では、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の5県について、平成23年3月11日以降に到来する国税に関する申告・納付等の期限の延長がされました

個別指定


地域指定された地域以外の地域に納税地がある法人で、災害により法人税、消費税及び地方消費税の申告を期限までにすることができない法人が個別指定による申告期限の延長したいときには、災害などの理由がやんだ後に期限内に申告をすることができない理由を記載した書面で所轄の税務署長に申請し承認を受けることによっても、申告・納税期限の延長ができます。

なお、「災害により期限までに法人税、消費税及び地方消費税の申告をすることができない場合」とは、例えば次のような場合をいいます。
(1)本社事務所が損害を受け、帳簿書類等の全部又は一部が滅失する等、直接的な被害を受けたことにより申告等を行うことが困難な場合
(2)交通手段・通信手段の遮断や停電(計画停電を含む)などのライフラインの遮断により申告等を行うことが困難な場合
(3)会計処理を行っていた事業所が被災し、帳簿書類の滅失や会計データが破損したことから、決算が確定しないため、申告等を行うことが困難な場合
(4)工場、支店等が被災し、合理的な損害見積額の計算を行うのに相当期間を要し、決算が確定しないため、申告等を行うことが困難な場合
(5)連結納税の適用を受けている場合において、連結子法人が被災し、連結所得の計算に必要な会計データの破損があったことなどから、申告等を行うことが困難な場合
(6)災害の影響により、株主総会が開催できず、決算が確定しないため、申告等を行うことが困難な場合


これ例外にも、税理士が次の理由で関与先法人の申告等を行うことが困難な場合にも、個別指定の申請をすることができます。

(1)交通手段・通信手段の遮断や停電(計画停電を含む)などのライフラインが遮断した
(2)納税者から預かった帳簿書類を紛失した又は申告書作成に必要なデータが破損したことにより関与先法人の申告等を行うことが困難になった


上記のように個別指定により期限延長される場合を除き、災害などの理由により決算が確定しないため、法人税の確定申告書をその提出期限までに提出することができない場合には、事業年度終了の日の翌日から45日以内に、その決算が確定しない理由等を記載した申請書を所轄の税務署長に提出することにより、税務署長より指定された期日までその提出期限を延長することができます。



国税の納税猶予


災害等により財産に相当の損失を受けたときは、所轄税務署長に申請をすることによって次のとおり国税の納税猶予を受けることができます。

災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予(1年)


災害により全積極財産のおおむね20%以上の損失を受けた方が受けられる国税の納税猶予制度です。

納税の猶予期間は、損失の程度により納期限から1年以内です。

納税の猶予を受けられる国税は、次のようなもので、その損失を受けた日以後1年以内に納付すべきものです。(法人税関係以外は省略)

(1)災害がやんだ日以前に課税期間の満了した法人税で、納期限がその損失を受けた日以後に到来するもののうち、猶予申請の日以前に納付すべき税額の確定したもの

(2)予定納税や中間申告に係る法人税


災害等を受けたことにより納付が困難な場合の納税の猶予(最長2年間)


災害その他やむを得ない理由に基づき、国税を一時に納付することができないと認められる場合には、税務署長に申請をすることにより、納税の猶予を受けることができます。

なお、この納税の猶予を受けるためには、原則として猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供が必要です(猶予金額が100万円以下、猶予期間が3月以内又は特別の事情がある場合は不要)。

また、納税の猶予を受けられる国税は、災害等により被害を受けたことに基づき、一時に納付することができないと認められる国税です。

納税の猶予期間は、原則として1年以内の期間に限りますが、猶予期間内に納付ができないやむを得ない理由がある場合は、既に認められている猶予期間と合わせて2年を超えない期間内で、申請により猶予期間の延長を受けることができます。


災害を受けたときの納税の猶予の手続き


(1)災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予

「災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予制度」による納税猶予を受けるためには、災害のやんだ日から2か月以内に必要事項を記載した「納税の猶予申請書」を所轄税務署へ提出する必要があります。

なお、納税の告知がされていない源泉徴収等による国税の猶予を申請する場合には、所得税徴収高計算書、登録免許税の猶予を申請する場合には登録等の事実を明らかにする書類を添付してください。

(2)災害等を受けたことにより納付が困難な場合の納税の猶予

「災害等を受けたことにより納付が困難な場合の納税の猶予制度」による納税猶予を受けるためには、必要事項を記載した「納税の猶予申請書」を所轄税務署へ提出する必要があります。申請書の提出期限はありませんが、早めに申請しましょう。

申請書には、次の書類を添付します。

 イ.災害などの事実を証する書類
 ロ.「財産収支状況書」(猶予を受けようとする金額が100万円を超える場合は、「財産目録」及び「収支の明細書」)
 ハ.担保の提供に関する書類


法人税の被災者に対する優遇制度詳細


災害による損失金の繰越し制度


本来、欠損金の繰越控除は、欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していれば受けることができません。

しかし、法人の有する棚卸資産や固定等について災害より生じた損失に係る欠損金額がある場合には、その損失の発生した事業年度が青色申告書を提出できない事業年度であっても、その災害損失欠金額に相当する金額は、その事業年度から10年間にわたって繰り越し控除されます。

災害損失欠損金の繰戻しによる法人税額の還付


災害のあった日から1年以内に終了する事業年度において、災害損失欠損金額がある場合には、その事業年度開始の日から1年(青色申告書の場合には2年)以内に開始した事業年度の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付を請求することができます。

ここでいう、「災害損失欠損金額」とは、棚卸資産や固定資産などについて災害のあった日の属する事業年度において、災害により生じた損失の額のうち欠損金額に達するまでの金額をいいます。

災害損失金額がある場合の仮決算の中間申告による所得税額の還付


災害のあった日から6月以内に終了する中間期間において災害損失金額がある場合には、仮決算の中間申告において控除しきれなかった所得税額の還付を受けることができます。

この「災害損失金額」とは、棚卸資産や固定資産などについて災害のあった日の属する事業年度において災害により生じた損失の額をいいます。

被災代替資産等の特別償却


特定非常災害として指定された災害については、発生日から同日の翌日以後5年を経過する日までの期間内に、被災代替資産等の取得等をして事業の用に供した場合には、特別償却をすることができます。


まとめ


今回ご紹介したように、法人が被災した場合の税金優遇制度には複数あります。

いずれも、あわてて手続きしないといけない、ということではありませんので、

まずは、復旧に力を入れていただき、落ち着いてからそれぞれの手続をすればいいでしょう。


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※お断り

※記事の内容は、投稿日現在の税法等の規定によっております。税制改正等により最新情報でない場合もありますので、ご了承ください。

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